榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

秘境駅の写真集に癒やされる私・・・【情熱的読書人間のないしょ話(296)】

【amazon 『いま行っておきたい秘境駅(2)』 カスタマーレビュー 2016年2月11日】 情熱的読書人間のないしょ話(296)

平日の森の中は、シーンとしています。丘に登ると、冬の青空が広がっていました。葉を落とし、塀を長々と這うツタは竜のように見えます。因みに、本日の歩数は10.219でした。

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閑話休題、写真集『いま行っておきたい秘境駅(2)』(牛山隆信著、自由国民社)の表紙・裏表紙には、留萌本線の真布(まっぷ)駅を包み込む夕闇迫る雪景色が広がっています。これぞ秘境駅という臨場感溢れる素晴らしい写真です。「広大な石狩平野のなか、板張りホームとひなびた木造の待合室がある。周囲に人家が7~8軒ほどしかなく、平野という大きなキャンパスへ気まぐれに設置したかのようだ」。

著者は、人家が少なく到達困難な駅を「秘境駅」と定義しています。

奥羽本線の津軽湯の沢駅は、「鉄道林に囲まれた砂利敷きの広場にポツンと木造駅舎が佇んでいる。ここは青森秋田の県境付近。周囲は山深く、駅から人家が見えないため、にわかに秘境感が漂う」。

廃止された岩泉線の押角駅は、こう紹介されています。「自然に呑み込まれた押角駅。現役の時から『もっとも自然に近い駅』だけに、自然に還っていく姿は、得も言われぬ風格を感じさせる」。

会津鉄道の大川ダム公園駅の「ホームの先のトンネルは気温が低いためか、幻想的な霧がかかっていた」。

廃止された神岡鉄道の、夕暮れ時の緑濃き山中に静かに佇む飛騨中山駅には、何とも言えぬ寂寥感が漂っています。

廃止された高千穂鉄道の上崎駅の「線路は剥されたが、ホームと待合室がきれいに残る」。

肥薩線の瀬戸石駅の「春先の菜の花に彩られるホーム。何とも穏やかな風景である」。

「この世知辛い世の中において、秘境駅は廃止される運命を背負っている。だからこそ、『いま行っておきたい』のである」。このうちのいくつかは絶対に訪ねるぞと、心に誓いました。