政治家、将軍、ビジネス・リーダーたちの戦略が目の前で展開されていく・・・【情熱的読書人間のないしょ話(342)】
千葉・柏の大堀川沿いの小雨に煙るソメイヨシノの並木は、なかなか風趣があります。雨のおかげで、私たち二人きりでした。近所のソメイヨシノの並木も静寂に包まれています。我が家から50mの公園のソメイヨシノは花も枝ぶりも見事です。キジバトをごく間近でカメラに収めることができました。子供の頃、傷ついてうずくまっていたキジバトを数カ月間、飼ったことがありますが、ある日、いつものように鳥小屋から出したところ、傷が癒えていたキジバトは空高く飛んでいってしまいました。懐かしい少年時代の思い出です。因みに、本日の歩数は10,851でした。
閑話休題、『図説 世界史を変えた50の戦略』(ダニエル・スミス著、小林朋則訳、原書房)は、紀元前のギリシャのオデュッセウスから現代のバラク・オバマまで、世界史を変えた50人の戦略を図説で示すというユニークでチャレンジングな企画が成功しています。
取り上げられている事例は、政治・社会、軍事、ビジネスという3つの分野から厳選されています。言わば、自分の強みを生かしつつ、ライヴァルや敵の弱みに付け込むためのケース・スタディ集なので、私たちが戦略・戦術を練る際のヒントを得ることができます。
●イスラームと戦う中世キリスト教のテンプル騎士団が、信頼と権力ある地位を利用して近代的な銀行業務を確立した事例、●アメリカ独立戦争の司令官となったジョージ・ワシントンが、強力なイギリス軍に対抗するため、一種のゲリラ戦を展開し勝利を収めた事例、●看護師を社会から尊敬される職業に高めたいと考えたフローレンス・ナイチンゲールが、根気強く運動を展開し実現に漕ぎ着けた事例、●ウォルト・ディズニーが、複数のビジネス分野に跨がって活動する世界初のメディア・コングロマリットを育て上げた事例、●マーティン・ルーサー・キングが、市民的不服従を主張してアメリカの公民権運動を大きく推進させた事例、●ジェフ・ベゾスが、世界最大のインターネット小売店を作り上げた事例――が、とりわけ、強く私の印象に残りました。
才能溢れる政治家、将軍、ビジネス・リーダーたちが己の最重要課題にどういう戦略で立ち向かったのか、それらのプロセスが目の前で展開されているかのような錯覚に襲われる一冊です。