榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

世界最高度の図解の技術を身に付けよう・・・【続々・独りよがりの読書論(3)】

【にぎわい 2023年7月6日号】 続々・独りよがりの読書論(3)

得意先からプロジェクトを受注したいとき、図解の技術を身に付けているか否かで大きな差が生じることは、誰しも経験のあることだろう。『フィナンシャル・タイムズ式 図解の技術――世界最高峰の経済紙はどのようにデータを見せているのか』(アラン・スミス著、濵浦奈緒子・深町あおい訳、ダイヤモンド社)で、世界最高レヴェルのノウハウを学んで、ライヴァル企業より優位に立とうではないか。

クリミア戦争中の看護の経験を踏まえ、フローレンス・ナイチンゲールが、兵士の死亡率の高さは衛生状態の悪さによるものだと示した説得力ある、工夫を凝らした円グラフによって、英国の公衆衛生を一変させた事例は、よく知られている。

●量を比較する、●時系列変化を表す、●相関関係を表す、●分布を見る、●流れを表す、●ランキングを表す、●へだたりを見せる、●割合と構成要素を表す、●地図を使って表す――にはどうすればいいのかが、易しいものからレヴェルの高いものまで具体的に示されている。

ヒントの中で、これは、すぐにも使えるなと、強く印象に残ったのは、下記の6つである。
●「積み上げ棒グラフ」で構成比率を示す。
●対数を使えば極端な値に対応できる。
●折れ線グラフを縦にしてスマホに対応する。
●折れ線の代わりに色の濃淡で時系列を見せる(カレンダー・ヒートマップ)。
●円グラフの中心に総数的な情報を入れて母集団を強調する(ドーナツ型円グラフ)。
●自然と目を惹く「図表タイトル」を工夫する。