徳川四天王・井伊氏の礎を築いた井伊直虎は、何と女性だった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(436)】
【amazon 『女城主・井伊直虎』 カスタマーレビュー 2016年6月30日】
情熱的読書人間のないしょ話(436)
散策中に、薄紫色・緑色の苞と白い花の組み合わせという、ちょっと変わった姿の植物を見かけました。なかなか名前が分からなかったのですが、柳沢朝江氏を初めとする植物観察会の仲間のおかげで、アカンサス(ハアザミ)と判明しました。ヤブカンゾウが濃い橙色の花を咲かせています。キンシバイが黄色の花を付けています。あちこちで、ムクゲが咲き競っています。因みに、本日の歩数は10,276でした。
閑話休題、『女城主・井伊直虎――この一冊でよくわかる!』(楠戸義昭著、PHP文庫)は、戦国時代末期に、女でありながら井伊直虎と名乗った国人領主の謎に実証的に迫っています。
「(直虎は)女でありながら、男として生きなければならなかった。出家しても尼となることを許されず、次郎法師という僧名を背負い、井伊家を守るために還俗して、男を装った」。「彼女が還俗して地頭職を継ぎ、女城主となってからは、的確に政務をこなし、主家である今川家の決定もはねのける、強い意志の持ち主だった。そして彼女は井伊家を守ろうと必死に生きた」。国人領主であった井伊氏は、守護大名から戦国大名へと脱皮していく今川氏の支配下に組み込まれ、辛酸をなめ続けたのです。
一族の幼い虎松(後の井伊直政)に井伊家の家督を継がせるべく、当主として、虎松の母代わりとして、直虎は力の限りを尽くします。徳川家康の将来性を見込んだ直虎の計らいで家康に仕えることになった直政は、家康の信頼を得て出世を重ね、徳川家臣団中の第一位に位置するまでになります。
滅亡の淵に立たされた井伊氏の運命に大きな転機をもたらし、江戸幕府の重鎮となる礎を築いた直虎の歴史的事績を知ろうとするとき、本書は必読の一冊です。