榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

三浦綾子の真剣に国を思う気持ちがひしひしと伝わってくるエッセイ集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(458)】

【amazon 『国を愛する心』 カスタマーレビュー 2016年7月22日】 情熱的読書人間のないしょ話(458)

散策中に、艶めかしい橙色のオニユリ、赤色のカノコユリを見つけました。涼しげなツユクサが群生しています。いい香りのするメドーセージ(サルビア・ガラニチカ)、ヒマワリ、アサガオも頑張って咲いています。因みに、本日の歩数は10,034でした。

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2016/ 7/12 16:05

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閑話休題、『国を愛する心』(三浦綾子著、小学館新書)からは、『氷点』で知られる三浦綾子の真剣に国を思う気持ちがひしひしと伝わってきます。

例えば、「私たちは国家機密法に反対します――かけがえのない自由」は、このように綴られています。「人間が、もっとも人間らしく生きるためには、何よりも自由でなくてはなりません。思想、信教、表現の自由は、人間にとって何ものにもかえがたい大事なものです。その自由を人間から奪ってしまうのが国家機密法です。人間らしく生きることを奪う恐ろしい法律なのです。私たち戦争中に生きてきた者は、自由を奪われることが、どんなに怖い結果をもたらすか身をもって知っています。余程の人でないかぎり、国家機密法に反対するのは当然です。私は、たとえ三度のご飯が二度、一度に減らされても、自由のほうを選びます。だから、この自由を奪う国家機密法には、人間として、絶対反対します」。

「サヨナラ原発」では、こう訴えています。「(原発廃棄物に)関心を持っている人は意外に少ないようだ。なぜか? それは、高レベル放射性廃棄物が、いかに恐怖すべきものかを知らないからではないか。・・・これらは実に数万年も人間社会から隔離して管理しなければならないと言われる。何万年の年月のうちには、地殻変動もあれば地震もあろう。むろん戦争もあろう。その何万年の間、この施設を絶対安全に管理することが可能なのだろうか。何しろ高レベル廃棄物は、自らの放射能によって絶えず高熱を発しつづけるために、水で冷却させなければならない。放射能の毒性は、現代の科学では絶対に消滅させ得ないと報じられている。こんなどうしようもない毒物を、吾々の大事な地球のあっちを掘っては埋め、こっちを掘っては埋めて抱えこむ。これが一体文化なのか、文明なのか。・・・吾々には恐るべき放射能を持つ廃棄物は不要だ。原発によらねば電力が供給されないというのなら、少々夜が暗くてもかまわない。命より大事な文明文化はない筈だ」。

これらの緊迫感に満ちた文章が書かれたのが、昨日今日のことではなく、30年も前ということに驚かされます。この30年間、私たちの日本が1cmも進歩していないこと、ちっとも賢くなっていないことを思い知らされ、唖然としてしまいます。日本はこんなに情けない国でいいのでしょうか。

今こそ、三浦綾子の声に真剣に耳を傾ける必要があると痛感しました。