榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

モノクロ画面から戦争の凄惨な実態が生々しく伝わってくる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(472)】

【amazon DVD『野火』 カスタマーレビュー 2016年8月4日】 情熱的読書人間のないしょ話(472)

散策中に、巣の中のツバメの雛たちを見つけました。シオカラトンボの雄と雌をカメラに収めました。雌はその色からムギワラトンボと呼ばれることもあります。葉の縁が白く彩られているハツユキソウが涼しげです。因みに、本日の歩数は10,233でした。

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閑話休題、戦争法案を推し進めようとしている輩、この法案に賛意を示している者たち、この法案に反対する勇気がない人たちは、映画『野火』(DVD『野火』<市川崑監督、船越英二、滝沢修、ミッキー・カーチス出演、KADOKAWA>)を見るべきです。

太平洋戦争末期に従軍した大岡昇平が、日本軍の敗色濃厚なフィリピン戦線での逃避行の体験を綴った小説『野火』(大岡昇平著、新潮文庫)を、市川崑が1959年に映画化したものですが、モノクロ画面から戦争の凄惨な実態が生々しく伝わってきます。そこいら中に転がっている日本兵の死体を見るまでもなく、戦争は決して恰好いいものではないことがよく分かります。

主人公の田村一等兵は、野原に落ちている人間の手を前にして、自分にこう言い聞かせます。「俺は食わない。俺が食ったんじゃないぞ。俺はまた夢を見ているんだ」。

そこから少しばかり行った所で行き倒れた田村は、再会した戦友に助け起こされ、水と肉片を与えられます。「何だい? それ」。「猿の肉さ」。田村は歯が駄目になっているので、口内に押し込まれた肉を噛めず口から出してしまいます。ご想像のように、これは猿の肉ではなく、彷徨っている戦友たちを銃で撃ち殺し、干した保存肉で飢えを凌いでいたのです。本作品は原作にかなり忠実に作られていますが、この人肉食の場面にはヴェールが被せられています。

あなたは、愛する人がこういうこともせざるを得なくなるかもしれない戦争をどう考えますか?