君はカプランマイヤー法の生存率曲線グラフを描けるか・・・【MRのための読書論(132)】
カプランマイヤー法
MRがドクター、薬剤師に対して、カプランマイヤー法を用いた生存率曲線グラフで当該薬剤の有用性を訴求するケースは結構多い。このグラフを正しく理解した上で、簡潔明瞭に説明できることはMRとして当然のことだが、自分の手でこういうグラフが描けたら、どんなに誇らしいことだろう。
『ドクターも納得! 医学統計入門――正しく理解、正しく伝える』(菅民郎・志賀保夫著、エルゼビア・ジャパン)を繙くと、カプランマイヤー法はそれほどややこしく難しいものではないことが分かり、1時間足らずで理解するだけでなく、グラフを描くこともできるようになる。
カプランマイヤー法での生存率データを見るときのポイントが、3つ挙げられている。①試験終了時点で観察を中止し、結論を導く必要があること、②観察開始が同時期でないデータ(=サンプル)があること、③観察期間中に観察不可能が生じることがあること。
期別生存率、累積生存率の算出
患者の観察時期が異なっていても、ある一定のルールに則って生存率を推計することができるのだ。
生存率には、期別生存率(その時期毎に、生存者数を対象患者数で割った値)と、累積生存率(例えば、36カ月間の累積生存率=12カ月目の生存率×24カ月目の生存率×36カ月目の生存率)がある。
カプランマイヤー法を用いた累積生存率は、4つのステップで求めることができある。①観察データ表の変更=観察データの観察開始時点を揃え、観察期間が短い順に並べ替える、②期別死亡率の算出=観察時期別の対象患者数、死亡数を確認し、期別死亡率を算出する、③期別生存率の算出=100%から期別死亡率を引くことで、期別生存率を算出する、④累積生存率の算出=期別生存率を掛け合わせて、累積生存率を算出する。
上記①~④の作業は、表を作成すると簡単に進めることができる。縦軸は時期(2カ月目、3カ月目、4カ月目、・・・)、横軸は対象患者数(a)、期別死亡数(b)、期別死亡率(c=b÷a)、期別生存率(d=100%-c)、累積生存率(e=dの累積)とし、それぞれの数値を計算し、記入していく。
生存率曲線の描き方
先ず、時期をグラフの横軸、累積生存率を縦軸にとり、上記の表で得られた値をプロットする。次に、同じ水平線上にある点同士の間に横線を引く。さらに、引いた横線の最終点とその直下の横線の開始点を縦線で垂直に結ぶと、階段状の生存率曲線グラフができ上がる。なお、各時期の対象患者数(n数)をグラフあるいは別表に記載する必要がある。
グラフから読み取れること
一般的に医療現場で平均生存期間(=生存期間中央値)として使われる値は、カプランマイヤー曲線で生存率がちょうど50%になる時期の累積生存率を意味している。
データのp値が0.05以下であれば、「比較した群間の生存率曲線に違いがある」、「比較した群間で有意の差がある」と判定することができる。p≦0.05は、有意差ありと判断できるが、その判断が誤る確率が5%以内ということを意味するのだ。
最後に一言。上記の文章のとおり試みたが、どうもうまくいかないという場合も、カプランマイヤー法を敬遠してはいけない。表やグラフ、イラストが豊富な本書を開けば、あっと言う間に関門を突破することができるだろう。
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