奄美大島には、キョローンと美しく囀るオオトラツグミという野鳥がいる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(688)】
千葉・流山のオオタカが繁殖する市野谷の森の中で道に迷ってしまい、初めて見る小さな池に行き当たりました。おかげで、ちょっぴり探検気分を味わうことができました。桃色の花の中の黒い葯が蛇の目のように見えるジャノメエリカを見かけました。フサアカシア(ミモザ)の黄色い花が陽に輝いています。ウメが辺りに甘い香りを漂わせています。因みに、本日の歩数は12,051でした。
閑話休題、『「幻の鳥」オオトラツグミはキョローンと鳴く』(水田拓著、東海大学出版部)で、奄美大島には美しい声で囀るオオトラツグミという野鳥がいることを知りました。さらに、絶滅危惧種のオオトラツグミの生態調査に10年も打ち込んできた研究者(=著者)がいることに驚かされました。
「(3月下旬の午前)5時30分、アマミイシカワガエルが鳴いている谷のさらに向こうの方から、かすかな声が聞こえ始める。『ツィー、キョローン、キュルンツィー、キョロロン』。抑揚のある、高く澄んだ、複雑で幻想的な鳴き声。オオトラツグミだ。世界中でここ奄美大島にしか住んでいない、『幻の鳥』とも称される鳥のさえずりである。まだ薄暗い森の中に、その美しい歌声は響き渡る。・・・不思議なことに、オオトラツグミは早朝のほんのわずかな間だけさえずり、明るくなるとほとんど鳴き止んでしまうのだ」。
「オオトラツグミはスズメ目ヒタキ科に属する『トラツグミ』という鳥の一亜種である」。
「オオトラツグミが繁殖する環境や必要な資源、繁殖の時期やそのやり方など、基本的な繁殖生態については少しずつ明らかになってきた。続いて知りたいのは、この鳥がなぜ絶滅危惧種と呼ばれるほど数を減らしてしまったのか、現在はどれくらいいるのか、そしてその数は増えているのか減っているのか、といったことである」。この後のページで、これらの疑問に対する答えが明かされていきます。