榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

30代の私を一変させた本・・・【続・リーダーのための読書論(33)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2013年10月21日号】 続・リーダーのための読書論(33)

私を変えた本

製薬企業に入社して13年目、35歳という30代のど真ん中で出会った本が、私を変えた。

30代に男がしておかなければならないこと』(鈴木健二著、大和出版。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)は、それまで読んだ人生論・キャリア論とは異なり、ズバッと本音が書かれていた。著者の主張は著者自身の体験に基づいているため、具体的で説得力があった。著者は、当時、一世を風靡したNHKの花形アナウンサーであったが、この邂逅以来、鈴木健二は私の心の師となったのである。

「仕事」「出世」「企画力」「行動力」「脱サラ・転職」「人間関係」「健康と時間の管理」「三十代の男の妻」「花開く四十代へ」などの各章が、これはと思う箇所に引いた赤鉛筆で真っ赤になってしまった。次の日から、赤線でマークした師の教えを守ろうと、日夜、実行に努めてきたのである。

仕事

例えば、「仕事」に関する教えは、こんなふうである。「ボロ雑巾になるまでコキ使われることを覚悟するのが、三十代の仕事をやり遂げるナンバーワンのコツである。楽をしようと思ってはいけない」。「組織人であれ個人営業であれ、しょせん仕事というのは雑用の集まりなのである。不思議なことに、古来、英雄偉人と呼ばれる人はこうした雑事を片づけることの名人である」。「三十代の仕事で最も必要な精神は、どんな仕事も決して嫌がらないこと」。「そこで当然必要となるのは、仕事から仕事へと追いまくられながらも、自分を見失わない姿勢である」。「体力、落着き、研究心、経験、勇気、瞬間に起こる危険に対処する能力、成功を一人占めにしない謙虚さなどである」。「オヌシデキルナという感じが、周囲の人にひろまるのは三十代がすべてである。三十代で、あいつは仕事のできるヤツだと太鼓判を押されたら、しめたものである」。

行動力

「多少の出世の早い遅いはあっても、組織の三十代に対する見方は、能力的に例外な人物を除いては、あとはほとんど一線に並んでいるという観察なのである。その見方を変えさせるのは、ほんの紙一重なのである。その紙一重の一つが行動力なのである。よく気がつくことから始まって、仕事が丁寧でしかも早い。言葉がはきはきしている。明るい性格である。反応が素早い。意見がしっかり述べられる。どんなに働いても疲れないし、弱音を吐かない。一つの仕事が終るとすぐに次の仕事へ移り、前の結果を吹聴したりせず、熱中はするが、いつまでもこだわらないなど、さまざまな要素がからみ合って行動力を造る」――というのだ。