地球温暖化は嘘だった、逆に地球寒冷化が始まっているという警告の書・・・【続・独りよがりの読書論(28)】
驚くべき書
地球温暖化によって、南極や北極の氷河や海氷が融け出している、モルディヴやツヴァルは水没してしまうと心配していたのに、地球温暖化は嘘だという書が現われたのだから、私の頭が混乱してしまったのも当然である。
眉に唾を付けながら、『地球はもう温暖化していない――科学と政治の大転換へ』(深井有著、平凡社新書)を読み始めたのだが、驚くべきことの連続だ。
平均気温の変化
驚くべきことの第1は、日本では疑う余地のない事実とされている二酸化炭素(CO₂)による地球温暖化は嘘だったと暴露されていること。
データ上、この20年近くも温暖化は進んでいないことが、明らかにされている。「国連機関IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が第1次報告書(1990年)でCO₂による地球温暖化を唱え始めてから25年が経過した。しかし、実際に温暖化が起こっていたのは7~8年に過ぎず、その後、世界の平均気温は頭打ちになって、今はむしろ下降傾向にある」。
その上、2009年11月19日、2011年11月22日、2013年3月13日に流出した大量のメールによって、IPCCがCO₂温暖化の主張に合うように観測データを改竄していたこと、IPCCの主張に合わない論文の発表を妨害していたことが白日の下に曝されてしまったのである。これはクライメットゲイト事件と呼ばれている。
温暖化主張の背景
驚くべきことの第2は、それなのに、地球温暖化が強調され続けているのはなぜか、その謎が解明されていること。
IPCCという国連機関が、もともと温室効果ガスによる地球温暖化を前提として作られた組織なので、自己の存在価値を否定するようなデータはできれば発表したくなかったのだろう。また、気象学者たちにとっては、CO₂温暖化の研究を標榜すれば、ポストは保証され、研究費に不自由しないわけである。さらに、国家レヴェルでは、CO₂排出削減を巡って各国間の商取引が行われる事態となっており、研究機関、民間企業もこの枠組みに取り込まれている。一言で言えば、地球温暖化問題は金儲けの種にされてしまっているのだ。
我が国では、CO₂による温暖化を防止するという名目で、毎年4兆円もの巨額の税金が投じられている。実は、先進国の中で、未だに国を挙げてCO₂温暖化の脅威を叫んでいるのは、日本だけなのである。
地球寒冷化
驚くべきことの第3は、地球温暖化とは逆に、地球寒冷化が始まっているという警告がなされていること。「今後、(地球の気候変動を左右する)太陽活動は数十年から100年にわたって弱まり、地球を寒冷化に向かわせるに違いないという予測である。これまで数百年ごとに訪れて、たびたび飢饉をもたらした小氷河期がまさに再来しようとしている。温暖化よりは寒冷化に備えなくてはならないのだ」。
食料の奪い合い
それでは、私たちは、今後、どうすればいいのか。「気候が寒冷化に向かえば食料の減産が強く懸念される。そのときは、たぶん世界中で食料の奪い合いが起こって社会秩序は大きく乱れ、殺し合いが起こるだろう」。著者は、今後の気候寒冷化に備えて食料自給を図ることが我が国の喫緊の課題だと強調している。
先入観を捨てて、科学的根拠に基づき、この問題に虚心に向き合えば、本書の主張が正しいことは火を見るよりも明らかである。地球温暖化論者たちの本書に対する反論を、ぜひとも聞きたいものだ。
地球の気候変動を考えるとき、どういう意見の持ち主であれ、本書は必読の一冊と言える。