榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

権力を振るった独裁者24人の最期の日々を追ったドキュメント・・・【情熱的読書人間のないしょ話(745)】

【amazon 『独裁者たちの最期の日々』 カスタマーレビュー 2017年5月3日】 情熱的読書人間のないしょ話(745)

クマガイソウの正面からの写真を撮りたかったので、再び訪れました。花弁の真ん中から中に入ったマルハナバチが、花の上部の口から外に出る時、花粉が体に付く仕掛けになっているのです。ヒメウラナミジャノメを見つけました。卵を温めるツバメの周辺を飛び回るツバメを近くからカメラに収めることができました。因みに、本日の歩数は10,583でした。

閑話休題、『独裁者たちの最期の日々』(ディアンヌ・デュクレ、エマニュエル・エシュト編、清水珠代訳、原書房、上・下巻)は、20世紀に途轍もない権力を振るい、人民に甚大な損害を与えた独裁者24人――ヒトラー、スターリン、フランコ、毛沢東、ポル・ポト、パフラヴィー2世、ティトー、ブレジネフ、マルコス、チャウシェスク、モブツ、サダム・フセイン、カダフィ、金正日など――が死を迎えるまでの最期の日々を追ったドキュメントです。

最晩年の毛沢東がALS(筋萎縮性側索硬化症)を患っていたという指摘には驚かされました。

周恩来は、このように評価されています。「周は中国で非常に人望が厚く、毛がかすんでしまうくらいの人気があったが、終始このうえなく忠実で献身的でかつ有用な毛の下僕でありつづけた」。

テレビ放映されたチャウシェスク夫妻の銃殺シーンは、本当に衝撃的でした。「1989年12月21日、ブカレストで暴動が起こり、チャウシェスク夫妻は失脚した。4日後、独裁者と妻は拙速な『裁判』のすえに銃殺され、その模様は国営テレビで放映された」。

「サダム・フセインは2003年12月に逮捕され、戦争、殺人、人道に対する罪、クルド人の大量虐殺の罪に問われた。裁判で絞首刑を宣告され、2006年12月30日に処刑された」。

カダフィの最期は、独裁者の矜恃が全く感じられない無様なものでした。「カダフィは下水管のなかで死んだ。彼の逃避行は、ある秋の木曜、生まれ故郷のシルテ近郊の、コンクリートの排水口で終わりを告げた。・・・混乱したリビアで進退窮まった指導者ムアンマル・カダフィの最期はグロテスクどころではなかった。狂暴で屈辱的で不名誉だった」。「カダフィは(反カダフィ派兵士たちから)めった打ちにされている。・・・混雑のなかで髪を鷲づかみにされ、引き抜かれた。あげくの果てに鉄の棒を肛門につっこまれた。・・・さらにもっと殴打がくわえられた。カダフィは膝をついて赤い血の塊を吐いた。この瞬間、腫れあがった顔に拳銃が向けられているのが映っている。だがそれだけだった。このぽつぽつ切れるビデオの次の画像には、地面にじかに横たえられた生気のない体と、目をうっすら開けた顔が映っている」。

これは、誰よりも先ず、金正恩に読ませたい本です。