私はブスで、性格はもっとブスと宣う著者の変身途上報告・・・【情熱的読書人間のないしょ話(805)】
散策中、提灯のような花に目を惹きつけられました。フクシア(ホクシャ)の花弁のように見えるのは萼で、中心部の膨らんだ部分が花です。キダチアロエが橙色の花を咲かせています。ヒイラギが水色の実を付けています。トマトの実が赤く色づいてきました。因みに、本日の歩数は10,990でした。
閑話休題、『ブスが美人に憧れて人生が変わった話。――「美人は性格が悪い」って本当!?』(フジコ著、大和出版)は、全篇に亘って「ブス」という言葉が氾濫しているため辟易するが、真実の一端を捉えている点は認めざるを得ません。
「言い訳が自己嫌悪につながるなんて、100も承知。それでもブスには極上の一品『でも・だって・どうせ』が口癖で、『できない・やれない』と言い訳ばかり。『どうせ自分は何もできないブスだから・・・』」。
「美人が憎い。だって私がブスに見えるのは、美人がいるせいだから。私が太って見えるのも、スレンダーな美人がいるから。私が毎日こんなに苦しんでいるのは、私がデブでブスで、人生何もかもうまくいかないのは、全部お前ら美人のせいだ! 世界中の美人が憎い! 憎い! 憎い! 美人はみんな、私より不幸になるべきだ! 自分の見た目と心の醜さを、こうやってすべて人のせいにすることで、なんとか心の平静を保っていたのです」。
「薄暗い中高生時代、それから大学、社会にと出て、すっかりブスとして開き直ることを覚えた私は、美人への憎しみを強めて」いたのですが、ある日、ツイッターで知り合った、同じアニメ好きな「腐女子」のオフ会に誘われたことで、運命が一転します。
「ブスがオフ会で出会った美人たちを時間いっぱいジロジロ観察して見つけた共通点」として、●美人はよく笑う、●美人はお礼をたくさん言う、●美人は人の話をよく聞き、自分と意見が違っても、相手の意見を尊重する、●美人は楽しそうに話す、●美人は明るく、ポジティブな言葉を使う、●美人は人を裁かない、●美人は素直、●美人は人を褒める、●美人は動作一つひとつが丁寧、●美人は目がキラキラと輝いている、●美人は自分に手間をかけている――ことに気づきます。「なぜ、美人は美しいのか、なぜ世の中の大半は、美人に惹かれ、美人に好意的なのか。美人を観察して、私はやっと、美人とは単に外見の美しさだけでできているものではないことに気づくことができました。美人とは、自分も周りの人も大切にして、人を幸せにできる人だったのです」。「ブスだから損をしていたんじゃなくて、ブスを言い訳に何もしなかったから損をしていたのだと、私はやっと思い至りました」。
著者・フジコは、美人の共通点のうち、「お礼を言う」「人を褒める」「自分に手間をかける」の3点から真似することで、「ブス」から「元ブス」へと変身していきます。「今も私は、決して『美人』ではありません。ですが。もう『ブス』ではありません。『美人に憧れている元ブス』です」。
「私はブスでした。そして、性格はもっとブスでした」と宣うフジコの変身報告、いや変身途上報告は、重要なことを教えてくれます。