福井県の共働き率、出生率、幸福度、世帯収入が高いのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1310)】
モミジバフウの紅葉が目を惹きます。我が家の庭の片隅で、薄紫色のキクがひっそりと咲いています。因みに、本日の歩数は10,497でした。
閑話休題、医薬品業界に情報と提案を発信し続けている月刊誌「Monthlyミクス」の酒田浩記者が、「共に地域医療をつくる姿勢が問われている」今、「エリアマーケティグ、地域密着型産業創出」を考えるヒントが詰まっている本として、『福井モデル――未来は地方から始まる』(藤吉雅春著、文藝春秋)を推薦しているので、手にした次第です。
共働き率と出生率で全国平均を上回る福井県が、幸福度も世帯収入も高いのはなぜでしょうか。
著者は、「福井モデル」成功の要因を5つ挙げています。
第1は、女性も羽ばたく「一緒にやろう経済」です。「子どもを産み、育てやすい社会。ここにポイントを置いた結果が、出生率の高さであり、全国トップレベルの労働力率と共働き率の高さに繋がっている。貧しかったからこそそうせざるをえなかったという事情があるにせよ、都市部における出生率の低さと出産による女性退職者の多さ、女性の労働環境の悪さとは逆だ」。
第2は、日本一早い「自発教育」です。「自分で観察して課題を発見し、調査し、解決する思考力を養っていく。福井県で長年『生きるために』行われてきた創意工夫の勉強方法なのだ」。
第3は、地域丸ごとインキュベーター(オープンイノベーション)です。「オープンイノベーションとは、自社技術だけで商品を開発するのではなく、他の企業や大学とアイディアを組み合わせて画期的な商品やビジネスモデルを開発することである。生々しい本当の『声』を聴ける『場』をつくることが重要だろう」。
第4は、町を動かす「市民主役事業」です。「社会課題を市民が積極的に解決しようとする背景には、市民一人ひとりに『リーダーは俺だ』という発想があるからだという声を市内で聞いた。リーダーとは組織のリーダーを指す意味だけに限らず、自分のことは自分で率先して動いて解決する人という意味もある、いわば、自分の人生を他人に命じられなくても自分で動かせる『自律』できる人のことだ。他人任せにせずに、自分のこととして取り組み、さらには周囲まで動かす。そこに『市民主役事業』が進化し続ける要因があるのだろう」。
第5は、「おもてなし」です。「何もないなら、知恵を絞って、技術を身につけて、産業を興す。切磋琢磨するライバルもいるし、支援をしてくれる組織もある。その際に必要なのが、よそ者の知恵だ。日本一、世界一の製品や技術をつくり続ける福井は、生きていくためによそ者を拒まない。こうした土壌があるから、『おもてなし』が成功したのだろう」。