榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

そのアイデアや商品がヒットするのはなぜか、ヒットと失敗を分ける要因は何か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1376)】

【amazon 『ヒットの設計図』 カスタマーレビュー 2019年1月25日】 情熱的読書人間のないしょ話(1376)

シジュウカラ、ムクドリ、キジバト、オオバン、水浴びするカモガモをカメラに収めました。因みに、本日の歩数は10,640でした。

閑話休題、『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』(デレク・トンプソン著、高橋由紀子訳、早川書房)のテーマは、2つです。1つは、音楽、映画、テレビ番組、本、ゲーム、アプリ、その他あらゆるカルチャーにおいて、人々が好む製品を作る秘訣とは何かであり、もう1つは、同様のアイデアなのに、全く当たらない製品と大当たりする製品があるのはなぜかです。

「美の心理学の分野には、新しいものに直面する時の不安と、それを理解したと感じて満足する瞬間の心理を言い表す言葉がある。『美的アハ体験』という言葉である。消費者のほとんどは、『ネオフィリア(好奇心が強く、新しいものを発見したいと思う)』であると同時に、重度の『ネオフォビア(あまりに新しいものを怖がる)』でもある。優れたヒットメーカーとは、新しいものと既存のもの、あるいは不安と理解を組み合わせて、『意味がわかる瞬間』を作り出す天才たちである。『どこかなじみを覚える驚き』を作り出す人たちと言ってもいい」。

「新しい何かを世に出そうとする人が最初に考えなければならないのは、次のことだ。『どうしたらこのアイデアを、<聴衆(観客、読者、消費者、視聴者>』に届けられるだろうか?』。・・・さらに深く考えれば、『どうすれば私の<聴衆>が、そのまた<聴衆>に話したくなるようなものを作れるだろうか?』が次の問題になる)。

レイモンド・ローウィのMAYA理論が3つの重要な教訓を提供しています。「第1の教訓=消費者は、すべてを知っているわけではないが、創造する人間よりも多くを知っている。・・・第2の教訓=観客にとってなじみのあるものを売る時には、そこに驚きを加えること。顧客を驚かすようなものを売る時には、なじみが感じられるようにすること。・・・第3の教訓=人々は時に、何かをすっかり好きになってしまうまで、自分が何を欲していたのかよくわからないことがある」。「MAYA」とは、Most Advanced Yet Acceptable(非常に先進的でありながら受け容れ可能なもの)を意味しており、思い切ったデザインでありながら、すぐに理解できるような製品に人は惹きつけられるのです。

豊富な実例が、著者の主張に説得力を与えています。