榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

フローチャート、図形、グラフ、地図などが総動員されたユニークな人体図鑑・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1427)】

【amazon 『BODY世にも美しい人体図鑑』 カスタマーレビュー 2019年3月17日】 情熱的読書人間のないしょ話(1427)

白い花を咲かせるジンチョウゲも、よい香りがします。あちこちで、さまざまな色合いのサクラソウが咲き競っています。ツバキ、カワヅザクラも頑張っています。因みに、本日の歩数は10,693でした。

閑話休題、『BODY世にも美しい人体図鑑』(スティーヴ・パーカー著、アンドリュー・ベイカー絵、千葉啓恵訳、ディスカヴァー・トゥエンテイワン)は、実にユニークな人体図鑑です。本書では、読者への訴求力を強めるために、フローチャート、図形、地図、段階図、時系列図、シンボル、視覚言語、アイコン、円グラフ、棒グラフなど、さまざまな方法が総動員されています。

例えば、「神経シグナルのバトンタッチ」では、①入力→②シグナル→③統合→④出力→⑤伝達速度が速まる→⑥接合部位では→⓻化学物質の横断→⑧さらにその先へ――が分かり易く図解されています。

「脳を流れる液体」では、脳脊髄液と血液が取り上げられています。脳内にいつも存在している量は、脳脊髄液が150ml、血液が120mlとあり、普段あまり意識に上らない脳脊髄液の重要性に気づかされました。

「記憶はチームプレー」では、脳には単一の「記憶中枢」がなく、複数の記憶――宣言的記憶(顕在記憶)、手続き記憶(潜在記憶)、情動的記憶、地形的記憶(視空間記憶)――が役割を分担しているとのことです。なお、宣言的記憶には、エピソード記憶と意味記憶があります。

「あなたが眠っている間に」では、年を取るほどレム睡眠が少なくなることが明らかにされています。

「がんとの闘い」では、世界で最も一般的ながんトップ10――①肺(割合13%)、②乳房(12%)、③結腸・直腸(10%)、④前立腺(8%)、⑤胃(7%)、⑥肝臓(6%)、⓻子宮頸部(4%)、⑧食道(3%)、⑨膀胱(3%)、⑩非ホジキンリンパ腫(3%)――と、米国でのがんの5年生存率――前立腺99%、甲状腺98%、精巣95%、皮膚メラノーマ91%、乳房89%、非ホジキンリンパ腫85%、子宮83%、子宮頸部68%、結腸・直腸65%、胃28%、肺17%、膵臓6%――が示されています。

因みに、2018年9月12日に国立がん研究センターが公表した、日本における胃がんの5年生存率(相対生存率)は、Ⅰ型94.9%、Ⅱ型68.2%、Ⅲ型49.4%、Ⅳ型9.6%、合計71.1%となっています。

著者らが目指した読書への印象づけに成功しています。