榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

桃太郎は桃からではなく、若返った婆から生まれ、かちかち山の婆は、狸に殺され汁にされていたんだとさ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1495)】

【amazon 『江戸の子どもの絵本』 カスタマーレビュー 2019年5月23日】 情熱的読書人間のないしょ話(1495)

ツマグロヒョウモンの雌をカメラに収めました。スイセンノウが赤紫色の花を咲かせています。さまざまな色合いのヤグルマギクが咲き競っています。タチアオイが薄紫色の花を、ウスベニアオイが紫色の花を付けています。ザクロの橙色の花が咲き始めました。ヤマグワが実を付けています。因みに、本日の歩数は12,092でした。

閑話休題、『江戸の子どもの絵本――三〇〇年前の読書世界にタイムトラベル』(叢の会編、文学通信)を読んで、びっくりしたことが2つあります。

本書では、江戸時代中期に江戸で出版された木版刷りの絵本『桃太郎昔語』(=桃太郎)、『きんときおさなだち』(=金太郎)、『兎大手柄』(=かちかち山)、『寺子短歌』の絵と文がそっくり再現されています。

びっくりしたことの1つは、『桃太郎昔語』では、婆が川から持ち帰った桃から桃太郎が生まれるのではなく、桃を食べた爺と婆が若返り、婆が桃太郎を出産する場面が描かれていることです。「桃太郎の誕生には桃から生まれる果生譚と桃を食べて若返った爺婆から生まれる回春譚の2つがある。江戸期ではほとんどが回春譚で、江戸末期を過渡期として明治期以降は果生譚となった。この作品も回春譚で、出産場面が描かれている」。

もう1つのびっくりしたことは、『兎大手柄』では、悪さをして爺に捕まった狸が、爺の留守中に婆を騙して逃げていってしまうのではなく、婆が縄を解いてくれたおかげで手足が自由になった狸が、婆を打ち殺し、煮て汁にしてしまうことです。その上、何と、爺は知らずに婆を食わされてしまうのです。<爺、野良より帰り、狸汁と思い食いて、婆が狸に殺されしことを知らぬところ。【爺】『この汁は婆臭い。ふしぎなことだ』。(婆に化けた)狸、婆をしたたか食らい山へ逃げゆく。【狸】『婆喰らいの爺いめ、流しの下の骨見ろ、くわい、くわい、くわい』>。

巻末に掲載されている巌谷小波の『桃太郎』、浜田広介の『かちかち山』は、私たちがよく知っている『桃太郎』、『かちかち山』です。現代と江戸時代の絵本の内容のあまりの違いに、愕然とするのは私だけでしょうか。