NHKの「忖度」は以前から存在したが、近年は状態が深刻化している・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1523)】
真っ白なドバト(カワラバト)が8羽、群れています。ヌマガエル、餌をねだるコイ、メダカの楊貴妃ダルマメダカという品種、幹之メダカ鉄仮面という品種をカメラに収めました。キキョウが咲き始めています。白いタチアオイ、装飾花(萼)が白いアナベル(アジサイの仲間)が目を惹きます。因みに、本日の歩数は10,412でした。
閑話休題、『変容するNHK――「忖度」とモラル崩壊の現場』(川本裕司著、花伝社)を読むと、NHKの「忖度」はかなり以前から存在していたことが分かります。
しかし、近年、その状態が深刻化していると、著者は指摘しています。「ときの権力が目に見えるような形で、介入する動きも目撃した。初めての受信料値下げという難局にも的確な対応で赤字を回避し評価が高かった松本正之会長が再選されず、後任として1914年に籾井勝人氏が就任するという不可解な会長人事が象徴的だった。会長選びが本格化するのを前に、会長を任命する権限を持ち、衆参両院の同意を得て首相が任命する経営委員に、首相に近い立場の人物が次々に送り込まれたあとの会長交代だった。後任の籾井氏が数々の失言を重ねては経営委員会から何度も注意された末、1期3年で会長の座を去った」。
「公正な態度で番組に臨み視聴者から高い支持を得ていた報道番組『クローズアップ現代』のキャスターを23年間にわたり務めてきた国谷裕子氏が1916年に降板した経緯にも、政治の『影』を感じた。政治家をはじめどんなゲストにも忖度せず聞くべきことを聞く国谷氏を番組から外すことを決めた背景には、NHK上層部の『自己規制』が浮かび上がってくる」。
「NHK関係者によると、加計学園問題を取材する社会部に対し、ある報道局幹部は『君たちは倒閣運動をしているのか』と告げたという。事実を掘り起こそうとする記者がいる。それを牽制しようとする幹部がいる。上層部は現場任せにする。こうした力学の強弱の結果が、日々のニュースに反映されている。あるときはスクープとして放送され、またあるときはボツになる」。
「板野放送総局長については、報道局の現場から不信がうずまいていた。ある関係者は言う。『クロ現で国民の間で賛否が割れていた安保法案について取り上げようとしたところ、板野放送総局長の意向として『衆議院を通過するまでは放送するな』という指示が出された。まだ議論が続いているから、という理由だった。放送されたのは議論が山場を越えて、参議院に法案が移ってからだった。クロ現の放送内容に放送総局長が介入するのは前例がない事態だった』」。
本書の内容は全て、著者自身による幅広い緻密なインタヴュー、取材に基づいているため、説得力があります。