榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

本書のおかげで、読みたい本が増えてしまいました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1635)】

【amazon 『続・次の本へ』 カスタマーレビュー 2019年10月9日】 情熱的読書人間のないしょ話(1635)

あちこちで、さまざまなキノコが見つかりました。因みに、本日の歩数は10,882でした。

閑話休題、『続・次の本へ』(苦楽堂編、苦楽堂)は、『次の本へ』(苦楽堂編、苦楽堂)の続篇です。「『あなたに合った次の本』を見つけるにはどうすればいいか。この本は、その手がかりをお届けする本です」。

「『さもしい人間』(伊藤恭彦著)から『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』へ――本を読むときの『楽しいあみだくじ』の作り方 川口昌人」には、こういう一節があります。「本を読み重ねていくことは、あみだくじ作りに似ていると思います。あみだくじを作るときには、まずタテ線を何本か引いて、そこからヨコ線を書き入れていきますよね。自分にとって、たとえば同じ著者やジャンル、テーマの本を読み重ねていくのは、タテ線を引く作業です。一方、ジャンルをまたいで思考や情報のリンクがつながりそうな本は、ヨコ線の材料になります。タテ線が長く伸び、ヨコ線が思いがけないリンクを結ぶほど、楽しめるくじができあがるわけです。・・・皆さまのあみだくじに繁栄あれ」。実際、『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』(井上達夫著、毎日新聞出版)は、非常に刺激的な本でした。

「『ジョゼフ・フーシェ』から『マゼラン』へ――『読書の連鎖過程』を作る 野口悠紀雄」では、筆者の読書法が語られています。「例えば、私は、シュテファン・ツヴァイクの『ジョゼフ・フーシェ』を読んで面白いと思い、次に『人類の星の時間』(シュテファン・ツヴァイク著、片山敏彦訳、みすず書房)、そして、『マゼラン』、そして『メリー・スチュアート』と、つぎつぎに読み進んだ。これは、小説を選ぶ場合にとくに有効な方法だ。小説に関する嗜好は、著者で決まる側面が強いからだ。また、小説の面白さは、著者の力量によって大きく左右されるが、この方法で選べば、おおよその水準は確保できる」。私も、大学生の時に、『ジョゼフ・フーシェ』(シュテファン・ツヴァイク著、高橋禎二・秋山英夫訳、岩波文庫)でツヴァイクを知り、彼の作品を次々と芋蔓式に読んでいった口です。

「『本格詳説』から『嵐が丘』へ――似た物語を読み、作者の狂気を知る 山崎ナオコーラ」では、筆者の読書体験が率直に綴られています。「私自身は若いときに『本格小説』を手に取れなかったわけだが、それは仰々しいタイトルに気後れしたというのもあったし、『<本格小説>は、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』を元にして書かれた』ということは知っていて、不勉強で『嵐が丘』をまだ読んでいなかったから、という理由もあった。しかし、あるとき、人に勧められて『本格小説』の表紙を開いた。上巻の半分辺りまではゆっくり読んでいたが、そのあとはラストまで一気読みだった。・・・あまりにも『本格小説』に感動した私は、その勢いで『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ著、田中西二郎訳、新潮文庫)も読んだ。『現代小説の礎を築いた』と言われる大傑作だ。・・・私が思ったのは、物語や構造は発明することに意義があるわけではないということだ。作者は発明家とは違う。どれだけその物語や構造を作家自身が必要としているか、物語に固執してどれだけ狂って文章を綴れるか、というところが問題になる。似た物語を続けて読むと、作家の情念が浮き彫りになったように感じた」。山崎とは順序が逆になるが、『本格小説』を読みたくなってしまいました。

「『書斎探訪』から『書斎の宇宙』へ――スタートは『資料探し』、そこから熱が冷めなくなって 和合亮一」を読んで、和合同様、書斎物に目がない私は嬉しくなってしまいました。『書斎の宇宙』(高橋輝次編、ちくま文庫)は既に読んでいるので、未読の『書斎探訪』(宇田川悟著)を早速、手に入れます。