世の喧騒から解放され、心がゆったりする一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1707)】
【amazon 『万葉集であるく奈良』 カスタマーレビュー 2019年12月18日】
情熱的読書人間のないしょ話(1707)
我が家の庭の餌台に、毎日、メジロたちがやって来ます。因みに、本日の歩数は10,333でした。
閑話休題、『万葉集であるく奈良』(上野誠・蜂飼耳・馬場基著、新潮社・とんぼの本)は、『万葉集』の歌を口ずさみながら奈良を散策できるように工夫されています。
「万葉びとのふるさと、飛鳥京」、「はじめての巨大都市、藤原京」、「花ひらく万葉文化、平城京」の順で、ゆったりと巡っていきます。
飛鳥京跡で――。<采女(うねめ)の袖吹き返す明日香風 京(みやこ)を遠みいたづらに吹く>(志貴皇子)。「(宮仕えする女たち)采女の袖を吹き返していた明日香風―― (今となっては)都が遠のいたのでただむなしく吹いているだけ・・・」。
藤原京跡で――。<春過ぎて夏来(きた)るらし 白たへの衣干したり天(あめ)の香具山>(持統天皇)。「春が過ぎて夏が来たらしい! 真っ白な衣が干してある・・・あの天の香具山に――」。
平城京跡で――。<あをによし奈良の都は 咲く花の薫(にほ)ふがごとく今盛りなり>(小野老)。「(あをによし)奈良の都は・・・ 咲く花が照り輝くように今真っ盛り!」。
<冬過ぎて春来(きた)るらし 朝日さす春日の山に霞たなびく>(作者不記載歌)。「冬が過ぎて春がやって来たらしい その理由はね 朝日さす春日の山に霞がたなびいているからね」。
<夕さればひぐらし来(き)鳴く生駒山 越えてそ我(あ)が来る妹(いも)が目を欲(ほ)り>(秦間満)。「夕暮になるとね ひくらしが来て鳴く生駒山―― 越えてわたしはやって来る いとしき女(ひと)のその目を見たいから――」。
世の喧騒から解放され、心がゆったりする一冊です。