榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

人生は一回きりなので、やりたいことはみんなやる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1720)】

【amazon 『私の大往生』 カスタマーレビュー 2019年12月31日】 情熱的読書人間のないしょ話(1720)

ハクセキレイ、ヒヨドリ、ハシブトガラスをカメラに収めました。因みに、本日の歩数は10,322でした。

閑話休題、『私の大往生』(週刊文春編、文春新書)では、一家言を持つ14人に「理想の死に方」を尋ねています。

とりわけ印象深いのは、出口治明の死生観です。

「実は、死に方というようなことはあまり考えたことがありません。人間はいつかは死ぬのだから、考えても仕方がない。仕方がないことは考えないというのが、僕の基本的なスタンスなんです」。

「僕も、朝起きてちょっとしんどいからそろそろ仕事を辞めようかという時になったら、最初にACP(アドバンス・ケア・プランニング)とこんな(もしものときのために、予め生前に用意した)手紙を書いておこうと思っています。ACPに書きたいのはまず、延命治療は一切要らないので、意識がなくなったら何もしないでほしいということ。それから、お墓は地球を汚すだけなので、骨は海にまいてもらいたいということ」。

「あれもやっておけばよかった、これもやっておけばよかった、と悔いを残す人生が一番詰まらない。人生は一回きりなので、やりたいことはみんなやる。好きなことをやるのが一番楽しい人生だと思っているのです。だから、人生『悔いなし、貯金なし』で終われば最高です」。

アンケートには、このように答えています。

[理想の最期とは?]=僕は一番好きなのが寝ることなので、そのまま目が覚めなかったら楽しいかなと思うことがよくあります。

[想定している自分のラストシーンは?]=外国の旅先の町を歩いているときに心臓麻痺で死んじゃうのが楽しそうかな。

「最後の瞬間、何を思い浮かべる?]=恋愛のことを思い浮かべるのが一番楽しいでしょうね。中学の頃の初恋かな。

[死ぬことは、怖いですか?]=死亡表を見れば年をとったら確率が上がるのがわかりますね。年をとったら死んでいくということがわかるので、そのファクトがちゃんとわかっていれば、当たり前のことやな、と思えばいいだけで、べつに怖れることはないと思います。死のことより、今何をするかを考える方が楽しいです。

出口の死生観は私のそれと驚くほど一致しているが、唯一違う点があります。それは、私が死の恐怖から逃れようと、あれこれ悩んだ末に、エピクロスの死に対する考え方に辿り着き、救われたのに対し、出口は、「人間はいつかは死ぬのだから、考えても仕方がない。仕方がないことは考えない」という無手勝流で同じ結論に達していることです。