榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

何をやっても不器用な「ぼく」の物語・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3055)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年8月29日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3055)

ムクドリ(写真1~3)、ハクセキレイ(写真4、5)をカメラに収めました。

閑話休題、『傍迷惑な人々――サーバー短篇集』(ジェイムズ・サーバー著、芹澤恵訳、光文社古典新訳文庫)に収められている『なんでも壊す男』は、何をやっても不器用な「ぼく」の物語です。

「実は今、みじめな男たちが集うささやかなクラブを結成しようかと考えている。ものの修理ができたり、ものを正しく動かせたりする人には、入会資格はない。家庭内のあれこれを器用にこなせる人にも――いや、家庭内に限らず、車庫でもどこでも、ともかく何をやらせても器用にこなしてしまう人にも、同様に入会資格はない。ぼくは生まれつき、道具というものとどうも相性がよくない」と始まります。

「新しいものになかなか馴染めない、ぼくのこの不器用さは、どうやら血筋によるものらしい」。

「この世の中は、機械化が進み、あちこち機械だらけで、ぼくのような人間には住みにくいことこの上ない」。

読み終わって、私には、このクラブの入会資格が十分あると確信しました。この「ぼく」は私のことではないか思われるほど、私たちは似ているからです。同類を発見して、ちょっぴりホッとできる作品です。