夫に不倫され、子供たちには冷たくあしらわれた65歳の女性が、思い切った行動に・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1826)】
【amazon 『あなたの不幸は蜜の味』 カスタマーレビュー 2020年4月13日】
情熱的読書人間のないしょ話(1826)
我が家の、総苞が赤いハナミズキが、雨風に打たれています。
閑話休題、『あなたの不幸は蜜の味――イヤミス傑作選』(辻村深月・小池真理子・沼田まほかる・新津きよみ・乃南アサ・宮部みゆき著、細谷正充編、PHP文芸文庫)には、女性作家6人の後味が悪い短篇ミステリが集められています。
どれも、よく工夫されたミステリだが、一番印象に残ったのは、『実家』(新津きよみ著)です。
65歳の篠田房子は、2歳年上の夫と年金暮らし。
実家を継いだ兄が亡くなったが、遺言により全財産は兄嫁が相続することになり、房子は当てが外れてしまいます。
そんな折、夫が67歳の女性と不倫しているのを見つけ、問い詰めたところ、夫は事実をあっさりと認め、「彼女を好きなんだ」と宣う始末です。
憤慨した房子は、別に生活を営んでいる長女、長男、次男のもとを順に訪れるが、どこでも冷たくあしらわれてしまいます。
そこで、房子は思い切った行動に出ます。
最後の最後に、思いもよらないどんでん返しが待ち構えています。