中国・武漢の新型コロナウイルス感染症の患者を収容した火神山医院で行われたこと・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2065)】
東京・港の六本木の一角に雪景色が出現しています。因みに、本日の歩数は14,887でした。
閑話休題、『わが敵「習近平」』(楊逸著、飛鳥新社)には、驚くべきことが書かれています。
「今回の新型コロナウイルスは、自然界で発生した『天災』の流行疫ではなく、バイオハザードとも言うべき、人為的なものが介在して蔓延した伝染病だということになります。『事故』ではなく『事件』という、当局が作り出した災禍の可能性が髙いのです」。著者は、新型コロナウイルス蔓延は中国政府による人災だとして、情報を隠蔽し、責任を他者に転嫁する中国共産党を告発しているのです。そして、習近平独裁体制こそが情報隠蔽の真因だというのです。
「国民の健康や安全はそっちのけで、権力闘争に走る中国共産党指導部の姿は、滑稽を通り越して『哀れ』とすら思えます。もちろん、さらに哀れなのは中国国民です。習近平が率いる中国共産党の新型コロナウイルス対応で明らかになったのは、人民の生命の危険も世界への迷惑にも配慮することなく、党の面子や正当性を繕うために、情報隠蔽や歪曲をして恥じることなく、都合の悪いことは他者に責任を押しつけるという体質です。これは中華人民共和国建国以来、毛沢東以来の中国の体質です」。
本書で一番衝撃的なのは、「恐るべき火神山医院の実態」です。「武漢市での感染の急拡大を受けて、当初、武漢市当局は病床不足に対処するため、10日間で新しい病院を建設しました。それが『火神山医院』。しかし、そこで適切な治療がなされていたかどうかは疑わしいものでした。治癒した率や致死率などについての正確な情報も発表されないままでした。どうも『医院』とは名ばかりで、医師も看護師もおらず、患者は何の治療も受けられず、ただ放置されているだけというのが実態だったようです。個室は外から鍵をかけられ、自由に出入りできない。いったん入ったら、遺体になるまで出てこられない。3月末に、『当局は、ある台湾メーカーに数十万個のボディーバッグをオーダーした』というニュースがありました。感染の疑いがあるというだけで強制的に連れていかれても、ろくな治療を受けられず、隔離されるだけ。病院での感染リスクが高く、仮に陰性だったとしても、感染して発症してしまう可能性もあります。これは明らかな『迫害』です。一説によれば、当時の武漢では、深夜から早朝にかけてのアルバイトが募集されていたそうです。亡くなった方の遺体を、夜を徹して搬出する作業に従事するのです。火葬場は24時間態勢のフル稼働で、自動ラインのような形になっていて、遺体を載せたら、後ろから灰になって出てくるようになっているという噂もあります。お骨も『いまは感染の疑いがあるから、渡せない』と言われ、葬式もなしにお骨になっていたという話も聞きます。・・・そのうちに、24時間稼働でも追いつかなくなって、ごみ処理車のような移動火葬車を40数台投入して対処したそうです。わずかな時間で償却できるといいます。これはまるで、ゴミ焼却や動物の死体処理と同じようなものです。また、武漢の隔離地区では誰も家から出られないから、食料が手に入らなければ餓死するしかない。最初は『武漢封鎖をしても食料は十分足りている』と発表されましたが、実際はまったく行き渡っていなかったのが現実のようです。結局、武漢の隔離地区に閉じ込められた人たちは、病死するか餓死するしかない。仮に、一家全員が感染したら、誰も事情がわからない。親しい人が『連絡が取れない』と訴えても、当局も動いてくれないので、確認のしようがないのです」。
これは武漢に限らないことだが、「『非常時』を喜ぶ人は、いつの時代にもいるもので、国家から『治安維持』のお墨付きをもらえば、怖いものなしです。場合によっては、日頃から快く思っていない人間や恨みを持っていた人間を、名指しで批判したりします。『こいつは前からアヤシイと思っていた』という人間に目をつけ、治安維持を目的に『あの家の者は感染したらしい。病院に連れていこう』と、隔離してしまう。そうした非人道的危機も横行しました。警察も同様です。感染の疑いがあるのなら、医師や衛生関係者が訪問すればいいはず。しかし中国では、警察や軍隊が赴くのです。しかも感染の疑いがあるならば、当人をその家で隔離すればよいはずなのです。なぜ嫌がる人を無理やり引っ張り出さなければならないのでしょうか。これは明らかな迫害です。ヒトラーがユダヤ人を強制連行したのと、何ら変わりがないのです」。
中国・ハルビン市出身で、日本に留学し、日本に帰化した著者の主張だけに、説得力があります。