榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

荒れ果てた羅生門で、死人の髪の毛を抜く老婆に下人がしたこと・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2258)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年6月19日号】 十熱的読書人間のないしょ話(2258)

ビワ(写真1)、カボチャ(写真2)、ズッキーニ(写真3、4)、トマト(写真5、6)、キュウリ(写真7、8)、ナス(写真9、10)、ワルナスビ(写真11)、クリの雄花(写真12)をカメラに収めました。

閑話休題、『羅生門』(芥川龍之介著、岩波文庫『羅生門・鼻・芋粥・偸盗』所収)は、芥川龍之介が『今昔物語集』に材を得た短篇です。

「或日の暮方の事である。一人の下人(げにん)が、羅生門の下で雨やみを待つてゐた」と始まります。

荒れ果てた羅生門は、引き取り手のない死人の捨て場所となっています。

死人の髪の毛を抜いていた老婆は、下人に責められて、「死人の髪の毛を抜くと云ふ事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。ぢやが、こゝにゐる死人どもは、皆、その位な事を、されてもいゝ人間ばかりだぞよ」と言い放ちます。

「『では、己(おれ)が引剥をしようと恨むまいな。己もさうしなければ、餓死をする体なのだ』。下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとつた。それから、足にしがみつかうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した」。

極限に追い込まれた人間の業の凄まじさが強烈な印象を与える作品です。