構想力とは何か、構想力を高める方法とは・・・【リーダーのための読書論(75)】
『大前研一 ニューノーマル時代の「構想力」』(大前研一編著、プレジデント社)で、大前研一は、コロナ禍によるニューノーマル(新常態)時代には「構想力」が必須だと強調している。
「21世紀には答えはどこにも存在しない。見えない答えをいち早く見つけ、形にした者が勝利者となることができるのである。構想力のある人間が圧倒的に有利であり、構想力がなければ生き残っていくことができないのが、21世紀なのだ。しかし、構想力を発揮しようにも、日本人にはそれをなかなか実行に移すことができない。そういった訓練を積んできていないからだ」と、大前は相変わらず辛口である。
「これから先のAI時代において、構想力の重要性は増していくだろう。2045年には、AIが人間の知能を超える『シンギュラリティ(技術的特異点)』が起こるといわれている。それが本当に2045年なのかは定かでないが、いずれコンピュータが人間を追い越す日がくるだろう。そうなったときに、人間がコンピュータより優位に立てるとするならば、それは『見えないものを見て、新たな価値を創造する』という構想力を発揮できる点においてのみだろう」。
「『構想力』とは何か。ひと言でいうならば、それはイマジネーションやインスピレーションに基づく『見えないものを見る力』のことだ。・・・つまり、構想力があるとは、『私には、消費者がこのような生活をしている姿が目に浮かぶ』と具体的にいえることである。構想力の次にくるのが『ビジョン』だ。これは、構想を社員やステークホルダーに伝え、彼らを動かす共通のフレームワークである。さらにいえば、トップの構想を他人にも見えるように説明するツールのことでもある。例を挙げると、『この会社は5年後、このようになっている。社会の中でこういった役割を担っていきたい』というのが、ビジョンだ。そして、このビジョンを具体的な計画として表現したものが、『戦略/事業計画』である。構想は一人の人間の頭の中で生まれるものだが、戦略/事業計画を作成するためには、有能なスタッフのサポートが必須となる」。
構想力を高める方法が3つ挙げられている。
①「自分の思考のタが」の外に出る。
▶自分の領域から脱する。
▶早送りして「What if」で考える。
▶思想、世界観、哲学といった観点からリベラルアーツ的に考える。
▶顧客視点、生活者視点で考える。
②「もし・・・だったら」という発想で考える。
③構想を人に伝えて動かす。
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