榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

人生が行き詰まりそうになっている人のための本・・・【続・リーダーのための読書論(54)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2015年6月25日号】 続・リーダーのための読書論(54)

逆転できる

あなたの人生が行き詰まりそうになっているなら、『決まりかけた人生も180度逆転できる!――自分が「報われる」働き方』(江上治著、三笠書房)を、一度、手に取ることを勧めたい。著者自身や著者が影響を受けた人々の逆転の実例から、逆転の糸口を発見することができるはずだ。

自分に自信が持てない人に――「『自分に自信がないか?』は、実績の問題ではなく、日常の思考習慣で決まっている部分が大きいのである。習慣さえ変えれば、誰でも自分に自信が持てるようになれる」。

上司が評価してくれない、と言う人に――「『自分が上司だったら』と、相手の側から自分の問題を見てみるのである」。

逆転の糸口

「身近な人で『モデル』となる人を探してみる」、「意図的に『さぼる時間』をつくり出す」、「1割の時間は『自分より格上の人』と」、「上司に逆らうよりも、上司の功績に貢献するほうが手っ取り早い」、「『それほど大事でない仕事』で力を消耗せず、必要な力を『20%の大事な部分』に注げ」、「売り上げの結果を出すセールスパーソンほど、『あなたが今、困っていることは何ですか?』と、相手を主語にした質問からお客様にアプローチしようとする」、「自分を変えようと思ったら、つき合う人を変える。住む場所を変える。時間の配分を変える」(大前研一)――と、ヒントになる言葉が目白押しである。

私が個人的にとりわけ面白いと思ったのは、データを取れというアドヴァイスだ。「たとえば上司に、いつもいつも怒られているという人がいる。『何をやっても怒られてしまう』『この上司のもとではやっていけない』などと落ち込んでしまうと、どんどんその職場で自分が追い込まれる状況になってしまうだろう。けれども『具体的にどんなことで怒られるか』を、きちんとデータとしてとっているだろうか? ●あの上司は、こういうことをすると、どんなときでも怒る、●こういうことの場合は、程度がここまでいくと怒る、●こういうことに対してまったく怒らない――実験するような感覚で、これらをデータにしてみるのである。すると『上司が求めていること』も何となくわかってくるし、職場にいても非常に働きやすくなる。いちいち上司を気にせず、自分のやりたいことを模索していくことができるだろう」。

行動記録表

巻末の「行動記録表」は、内容が具体的なので、大いに役立つだろう。ミッションステートメント、長期目標、短期目標、今日の目標、鍵となる人、行動記録、伝えたいこと、事実、気づき、宣言、今日ひらめいたアイディア、今日よかった出来事など――を、毎日、記入するというものである。「最初は記入するのが面倒に思うかもしれないが、これも『慣れ』だと思う。そして行動記録表に慣れるということは、『自分自身の一日の仕事を振り返り、課題とよかったことを確認し、明日の目標につなげる』という一連のプロセスに慣れるということにもつながる」というのだ。