30年間も、日本では真面目に働いても給料が上がらないのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2437)】
メディニラ・スペキオサが花と実を付けています。
閑話休題、『大前研一 日本の論点 2022~23――なぜ、ニッポンでは真面目に働いても給料が上昇しないのか。』(大前研一著、プレジデント社)が取り上げた論点の中で、とりわけ興味深いのは、「なぜ、ニッポンでは真面目に働いても給料が上昇しないのか」――その理由と対策です。
著者は、30年も給料が上がらないのは異常事態だと喝破しています。「日本では、どれだけ真面目に働いても給料が上がらない。その理由は単純で、企業の労働生産性が低いからだ。日本生産性本部の調査では、日本の一人当たり労働生産性は、2019年はOECD加盟37カ国中、26位だった。主要先進7カ国で比較すると、日本は50年以上も最下位に甘んじている」。
「海外の企業では、デジタル化を進めると同時に、働き方と組織の改革にも着手する。たとえば、以前は10人働いていた職場が、パソコンと担当者1人だけで10人分の業務量をこなせるようになれば、生産性は10倍だ。労働生産性を上げるには、一定のアウトプットに関わる人数を減らすのが効果的な方法となる」。
「日本の企業が本気で取り組めば、労働生産性を上げることは難しくない。ただし、間接業務の担当者の9割が失業するので、古いタイプの経営者は『頑張って働いてきた社員をクビにするのは忍びない』と人員削減に手をつけないでいる」。
「しかし。働く人と働かない人を同じ職場に置いておくのは100%誤った発想だ。この誤った発想のせいで企業の生産性は低いままなので、社員の給料も上がらない。このような悪循環に陥っているのだ」。
「日本全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるためには、IT業界の構造と仕事の進め方を見直し、自治体や官庁も含めて非IT企業に優れたIT人材がたくさんいる状態に早く移行しなくてはならない」。
「日本人の給料を上げるためには、経営者がまず動かなければ何も始まらない。間接業務のデジタル化やDXも、人員を減らして労働生産性を高めることも、すべて経営者の判断と行動にかかっている。つまり、まず経営者から21世紀型に生まれ変わる必要がある。具体的には、構想力があり、システム思考ができる経営者になるということだ。今や経営者にとってシステム思考、プログラミング思考は必須科目となった。自分の構想をシステム化し、説明できなければ仕事にならないのだ。実際、優れた経営者はシステム思考、プログラミング思考ができる。社会に出てからも勉強を続けた結果だ。学生時代は文系だった人でも、成果が出せるまで挫折せずに勉強し、習得しているのだ」。
いつもながら、大前研一の分析、主張は、頗る明快です。