日本産全種の雄と雌の表翅と裏翅の生態写真が網羅された無比のチョウ図鑑・・・【山椒読書論(750)】
【読書クラブ 本好きですか? 2022年10月8日号】
山椒読書論(750)
自然観察会仲間のチョウの達人が愛用しているという『フィールドガイド 日本のチョウ――日本産全種がフィールド写真で検索可能(増補改訂版)』(日本チョウ類保全協会編、誠文堂新光社)を手にしたが、その膨大な情報量に圧倒された。
圧倒された理由は3つある。
第1は、日本産全種のチョウの雄と雌の表翅と裏翅の生態写真が掲載されていること。一時的に飛来・発生する迷チョウ、外来種も掲載されていること。
ただし、巻頭に、●本州~九州で身近なチョウ30種、●北海道で身近なチョウ15種、●沖縄県で身近なチョウ15種――が挙げられているので、目安をつけ易い。
第2は、種名、雄と雌の識別点が明快に示されていること。雄と雌の識別に資するため、形態と行動の両面から解説されていること。
●どのグループか? ●棲息環境は? ●分布は? ●成虫の時期は? ●雄と雌の違いは?――という流れを辿れば、私たちでも識別できるようになっている。
第3は、種を同定するための検索表に工夫が凝らされていること。
●翅の色で検索する、 ●大きさを目安に絞り込む――ことができる。
例えば、ミドリヒョウモンとメスグロヒョウモンの生態写真は、このように識別し易いように並べて掲載されている。