大ばくち もとも子もなく すってんてん・・・【ことばのオアシス(66)】
【薬事日報 2011年5月23日号】
ことばのオアシス(66)
大ばくち もとも子もなく すってんてん
――甘粕正彦
大杉栄殺害の首謀者とされ、満州事変に至る謀略工作に従事し満州国建国に一役買い、満州映画協会(満映)を率いた甘粕正彦。
1945(昭和20)年8月20日に甘粕は服毒自殺するのだが、前々日、満映理事長室の黒板に上掲の言葉が彼の筆跡で書かれていたことを、何人かが目撃している。「大ばくち 身ぐるみぬいで すってんてん」だったという説もある。
過剰な忠誠心と実務能力を有し、ユーモアを解した甘粕の己と日本、そして満州国の運命に対する自嘲の作と思われるが、別に、巻紙に毛筆で墨痕鮮やかに記された憂国と自責の遺書が3通残されていたという。
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