榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

大暴落が襲ってくる前に、債券や金融商品はすべて売り払っておけ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2799)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年12月15日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2799)

ハシビロガモの雄のエクリプス(写真1、2)、コガモの雄と雌(写真3)をカメラに収めました。

閑話休題、『暴落相場とインフレ――本番はこれからだ』(澤上篤人著、明日香出版社)は、長期投信型投信として高い評価を得ている「さわかみ投信」の創業者・澤上篤人の警告本です。

「金融マーケット全般の大暴落も、インフレの嵐も、これからが本番である。どのような展開となっていくのか、本書では長期投資の観点でもって書き進めている。それによって、読者の皆さんに、本格派の長期投資家は『どう考え、どう行動していくか』に、慣れ親しんでもらえたらと願う。・・・本書を通して訴えたいのは、いかにして日々の生活と財産を守っていくかだ。そのためには、やるべきことと、やってはいけないことを、しっかり認識する必要がある。すなわち、金融マーケットや経済社会が酷い混乱に陥っていくのを予知し、まずはそこからは遠く離れた立ち位置を確保する。言ってみれば、一刻も早く高台に登って、大津波が襲ってくるのを避けるイメージだ。もちろん、ただ安全と安心を確保するだけではつまらない。返す刀で、将来に向けて攻めの手を打っていこうではないか」。

保有している資産を失いたくない人に対する著者のアドヴァイスを一言で言うと、「債券や金融商品はすべて売り払い、その代金は証券会社に預けておけ」ということになるでしょう。

「いかに債券の安全神話などといっても、金利上昇の圧力には抗えない。いずれどこかで、世界の債券投資家たちは保有債券の売りに一転しよう。それも、投げ売りに追い込まれてだ」。「一切の例外なしに、すべての債券価格は下落に転じる。それが、さらなる債券利回りの上昇を招き、一層の債券売りを誘う展開となっていく。これが、債券投資の恐ろしさである。・・・そういった債券市場の一方通行的な暴落を、世界は40数年ぶりに体験することになる。世界の債券投資家はまず間違いなく、恐慌状態に叩き落されよう。・・・債券市場が売られる時は、まったくの例外なしに一直線で下げていく」。

「大崩れしはじめる前に、ほとんどすべての金融商品は、片っ端から売ってしまおう。残しておくのは、長期投資で株式投資している投資勘定だけだ。・・・売っておくのは不動産も同様である。・・・もし変動金利の住宅ローンを抱えているのなら、迷わず固定金利のものに切り換えておこう」。

「ほとんどの金融商品は、きれいさっぱり売っておけと書いた。売った後の資金の置き場所も、しっかり考えておこう。そう、売却代金を銀行などに預けておくのは危険なのだ。・・・株式や債券そしてあらゆる金融商品を売った代金は、そのまま証券会社に預けておこう。その資金は証券保管振替機構(ほふり)を通して、日証金信託銀行に信託財産として保管・管理される。信託財産として預けておけば、払い戻し制限や預金封鎖とかの心配など無用。いつでも次の投資案件に投入できるし、お金の置き場所として最も安全である。あるいは、長い実績のある長期保有型の投信を購入しておく。投信購入に振り向けた資産も、信託銀行が信託財産として保管・管理してくれるから、やはり安心安全である」。