イギリスの夫婦が手をつなぐ理由・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2608)】
サフランモドキ(ゼフィランサス・カリナタ。写真1)、ビヨウヤナギ(写真2~5)、カシワバアジサイ(写真6)が咲いています。トクサ(写真7)の茎たちが直立しています。キノコ(写真8)の鮮やかな色が目を惹きます。
閑話休題、『イギリスの夫婦はなぜ手をつなぐのか』(井形慶子著、新潮文庫)には、興味深いことが書かれています。
「夫婦が手をつなぐ――。それもイギリスでは、明らかに新婚カップルではない老夫婦が手を取り合い、肩を並べ、楽しそうに会話しながら歩いている。誰はばかることなく、互いにいたわり合うその姿は、幸福な結婚、そのものだ」。
「夫婦が手をつなぐことは、心身共に安らぎにつながるのだ。にもかかわらず、多くの人は手をつなぐどころか、結婚相手と良い関係を持続させることが困難だと感じている。恋人同士の時は毎日のように連絡し合い、片時も離れたくないと思った。話すことが、一緒にしたいことがたくさんあった、そんな気持ちが結婚して、共に暮らし始めた途端、変わり始める。長年連れ添った夫や妻を『空気のような存在』とたとえる人は多いが、この言葉を聞くたび、大好きだった相手が単なる風景に変わっていくイメージを抱いてしまう。『結婚したら淋しくなった』と、これまで何人のカップルから聞いたことだろう。愛情に満ちた関係に風が吹き、顔を見るのもうっとうしくなる。ただでさえ婚姻期間20年以上の離婚が増えている日本では、団塊の世代が一斉に定年退職尾する、2007年問題と相まって家庭にもどった後、妻から三行半をつきつけられる熟年離婚の激増も深刻化している。夫がいなくても年金が入り、生活がある程度保障されるのなら、これまでのしがらみから解放されて残りの人生を自由に生きたい。今さら、長年かけて自分が築いた生活サイクルを、夫にすり合わせられないと考える妻たちが大勢いる。これは齢をとっても手をつなぐイギリスの夫婦観とは対照的だ」。
「夫と妻はワンユニット。イギリスの夫婦は、いつも二人で一緒にいることを楽しみ、全ての経験を共有する。・・・イギリスの元首相、チャーチルもこう語っていた。『妻が健康で私のそばにいることこそ、何よりも、誰よりも、最も嬉しいプレゼントだ』。これはチャーチル個人の見解ではなく、イギリス人の夫婦観を示している。イギリス人の夫らに、『結婚したときと今とで、どちらが妻に対する愛情が強いか』と尋ねたところ、ほとんどの夫が今の方が強いと答えていた。パートナーとの愛情は時と共に成熟し、やがて大きな人生の贈り物となるのだ」。妻に対する気持ちだけは、私もチャーチル並みのようです。