大手銀行員として前向きに頑張ったのに出世コースから外れてしまったのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2815)】
ジョウビタキの雄(写真1~4)、雌(写真5、6)、アオジの雌(写真7~9)、ツグミ(写真10~12)をカメラに収めました。因みに、本日の歩数は11,748でした。
閑話休題、『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記――このたびの件、深くお詫び申しあげます』(目黒冬弥著、三五館シンシャ)で、とりわけ強く印象に残ったことが3つあります。
第1は、この著者が大手銀行員として前向きに頑張ったのに出世コースから外れてしまったのは、入行後、2番目の勤務地となった地方支店に異動早々、支店長に睨まれ、査定で大罰点を食らってしまったためであること。
「(本部の)人事担当者はわれわれ行員を評価しに来たのではない。支店長評価のための面接なのだ。だから(寺川)支店長は部下にヘマをされたくない。『キミにはこのさき、冷や飯を食べてもらうわ。わかるかな? 十字架だよ。まあ、簡単には外れないからな。それぐらいのことをしてくれたんだよ。ナメるな!』。そう怒鳴って、飲んでいた缶コーヒーを投げつけてきた」。
どのような上司に出会うかでサラリーマンとしての運命が大きく左右されることは、サラリーマン経験者なら思い当たることでしょう。
第2は、明文化されてはいないが、組織内には出世コースとそれ以外のコースが厳然と存在すること、また、支店間や職務間に越え難い格差が存在すること。
「人事部、経営企画部、営業企画部は銀行全体の人員を動かしたり、経営計画の策定をしたり、支店長の尻を叩いて業績推進を引っ張る部署であり、本部の中枢、エリートコースでもある。銀行という組織は、出世コースとそれ以外との差が大きい。先にあげたエリートコースにくらべ、総務関連、管財部門、事務企画部門などは日陰の浮かばれない部署である。組織にとって不可欠な部署であるにもかかわらず、『稼ぐ営業』の下に位置付けられている。営業と事務では、営業のほうが格上という序列ができあがっている。・・・また、支店にも格がある」。
この点に関しては、銀行以外の企業も似たり寄ったりです。
第3は、決して恵まれたとは言えない銀行員生活を送ってきた著者が、ある意味、見事な生き方をしていること。
「私が入行してからの30年、銀行を取り巻く環境や仕事の中身は大きく変わった。今もなお変わり続けている。何年か後には銀行窓口に人はおらず、AIを搭載したロボットが処理を完結していくなどともいわれる。私もあと数年でこの業界を去る。自分の身の振り方も銀行の未来も、先のことはわからない。わかっていることがある。それまでの数年を銀行員として精一杯、働く。さあ、今日もまたシャッターが上がる」。
重い気分で読み進めてきたが、この「あとがき」に至り、正直言って、ホッとしました。