飄々としていながら、ぴりっと山葵が利いたエッセイ集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2892)】
モクレン(シモクレン。写真1)、ハクモクレン(写真2、3)、コブシ(写真4)、シデコブシ(写真5)、ハナモモ(写真6~8)、フサアカシア(ミモザ。写真9、10)、ベニバナトキワマンサク(写真11)、ミツマタ(写真12)、アカバナミツマタ(写真13)、セイヨウアブラナ(ナノハナ。写真14)が咲いています。
閑話休題、『老童雑記』(森村稔著、書肆アルス)は、老童と自称する86歳の森村稔のエッセイ集です。
「書物でも、芸術作品でも、創造物とその創造者とのイメージが一致しないことはいくらでもある。齢を重ねた今は、(若い頃)画家に対してネガティブな感情をもったのは間違いであった、と分かる。相手を勝手に神格化し、神様はカネなんかには無頓着のはずと思い込んでいたアホな若者であった。それにしても、景仰する人には不用意に近づくものではない。一つの人生訓になるかも知れない」。
「以前聞いた小咄を思い出した。学者と作家が旅館にこもり、それぞれの原稿を書いていた。学者は机の周りに文献を山のように積んでいる。作家の部屋にあるのは、原稿用紙とペンだけ。学者がそれを見て『作家はいいですなあ。書物なんか読まなくても書けるのですから』と言ったら、作家は切り返した。『学者はいいですなあ。書物さえ読めば書けるのですから』と。どちらかといえば、作家の言に共感する」。
「会談・放談の場においても、メンバーはほぼ次の四タイプになる。一 もの知りであり、かつ話も面白い人。二 話は面白いが、ものを知らない人。三 もの知りだが、話は面白くない人。四 ものも知らず、話も面白くない人。望ましい順に並べてみたが、二と三の順位は時と場合に依って動く。テレビ番組のコメンテーターやゲストに四がいたりしたら悲惨なことになる」。
飄々としていながら、ぴりっと山葵が利いたエッセイが満載です。