博物館の学芸員の仕事とは?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2918)】
雨の日は読書三昧――。端午の節句が近づいてきましたね。
閑話休題、私は長年、会社員として働き、今は隠居の身だが、『博物館と学芸員のおしごと――博物館概論』(柴正博著、東海教育研究所)を読んで、学芸員という道もあったなあと思いました。
「博物館は、世界には4万館以上もあり、日本だけでも5,000館以上もあります。そこで働く学芸員とは、博物館の資料の専門家で、資料の採集や保管、研究や展示、さらに教育などを行います。この本は、そんな博物館の活動と博物館で働く学芸員の仕事を解説したものです」。具体的には、自然観察(フィールドワーク)→調査・採集→研究→展示製作・管理→収蔵・保管→館内案内→質問対応・ワークショップ――となります。
「学芸員は博物館にとってなくてはならない存在であり、その専門分野と個性、スキルによって博物館の内容と質が決まります。学芸員は、その『モノ』に対しての専門家(研究者)であることはもちろん、教育者であり、地域のその『モノ』に関する活動のリーダーまたはマネージャーでなくてはなりません。そして、博物館資料を永続的に後世に残す使命をもちます」。
「このように書くと、博物館の学芸員は大変な仕事をすると思われるかもしれません。しかし、学芸員はもともと自分の興味をもつ『モノ』、好きな『モノ』を集めて、それについて研究し、そこから明らかになったことを、博物館で『モノ』とともに展示して、多くの人にそれを知ってもらおうと努力しています。そのことは、自然や文化についての資料を保存し、新たな知識を多くの人に提供するサービスであり、それによって来館者に喜んでいただき、何かを考えていただく機会にしていただけることを、学芸員は最大の喜びに感じています。自分が好きなことをして、それを多くの人々に提供、すなわちサービスすることにより、多くの人々に喜んでもらい、ともに『モノ』について語れる場をつくれる。このことは、学芸員が望んでいるもっとも大切なことです。そして、そのための努力を喜んでできるのが博物館の学芸員であると思います」。