榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

絶海の灯台から、忽然と3人の灯台守たちが姿を消したのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2930)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年4月27日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2930)

シーラ・ペルヴィアナ(写真1、2)、ドイツスズラン(写真3、4)が咲いています。我が家の庭では、キンギョソウ(写真5)、ミヤコワスレ(写真6)、ウスベニカノコソウ(写真7)が咲いています。東京・千代田で開かれたOB・OG会で楽しい一時を過ごしました。

閑話休題、『光を灯す男たち』(エマ・ストーネクス著、小川高義訳、新潮社)は、1972年末、英国の絶海の灯台から、忽然と3人の灯台守たちが姿を消したのはなぜか、彼らにいったい何が起こったのか――という謎に挑戦した小説です。

事件から20年後、謎を解くべく、一人の作家が関係者たちへの取材を始めます。「いまを去ること20年、1972年の冬に、ランズエンド岬の沖合で、コーンウォールの海の灯台から、3名の駐在員が行方を絶った。手がかりが残っていなかったわけではない。入口ドアは内部から閉ざされ、2つの時計が同じ時刻で止まっていて、食事の用意だけはできていた。また主任(駐在員)の天候日誌には、島の周囲に嵐、という記述があるのに、実際には好天だったのが不可解である」。因みに、2つの時計は8時45分で止まっていました。

事件当時と20年後の、灯台守たちと残された妻や恋人たちの語りが交錯する中、徐々に、それこそ薄皮を剥がすように、それぞれが抱えていた秘密が明らかにされていきます。ストーリーテリングの巧みさに、ページを繰る手が止まらなくなりました。そして、あまりにも意外な結末に、読み終わった後も呆然としています。