榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

『肉蒲団』の過激だと言われる、その性描写はいかほどのものか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3009)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年7月14日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3009)

モミジアオイ(写真1、2)が咲いています。イチジク(写真3)が実を付けています。キンケハラナガツチバチの雌(写真4)、ヤマトシジミの雌(写真5、6)、ツマグロヒョウモンの雄(写真7)をカメラに収めました。我が家の庭では、キキョウ(写真8)が咲いています。

閑話休題、『完訳 肉蒲団』(伏見冲敬訳、平凡社ライブラリー)は中国・清代の好色小説で、主人公・未央生の色道遍歴の物語です。

過激だと言われる、その性描写がいかほどのものか確認したくて、本書を手にしました。

有名な場面――未央生が新妻の玉香に春画を見せる場面は、こんなふうです。

「『ねえお前、寝台にゆかないでこの椅子を築山の代りにして、冊子にかいてあるのを真似てみようよ』と申しますと、玉香はわざといやいやをして、『でもこんなこと人間がすることじゃないみたいだわ』。・・・未央生すかさず手を伸して彼女の褲帯を外してしまいます。玉香は口先きは承知しないが手は既に承知しています。というのは未央生の肩にもたらせて彼のするに任せているのでございます。未央生は彼女を椅子に坐らせて東西を納れてしまってから、さておもむろに着物を脱がせ始めます。・・・未央生は彼女の着物を脱がせてしまいまして、それより大いに旗鎗を整えて攻め立てまする有様は、宛(あたか)も第一幅の春宮の花心を求むるの光景と相合するのでございます。玉香はこれを迎えて周旋いたしておりますうちに、渾身しびるるに似てしびるるに非ず、かゆきに似てかゆきにも非ず、押しもならず引きも出来ない心持になってしまいました。『這様罷了(そのまま)・・・』と玉香の叫ぶのを聞いた未央生は既に花心を尋ね得たことを知り、浅より深に、寛より繁に、数百提いたしますうちに、恰も第二幅春宮の状は描き出だされるのでございます」。

「事果ててしばらくいたしまして、玉香は漸く気がつきます。『あたしさっきは死んでしまうのかと思いましたわ』。・・・話し乍(なが)ら起きて着物を着、またかの春宮を見ては興高きところに到っては又蒸返し、夫婦二人この日から始めて身も心も打ち融けていよいよ情愛は深まるばかりでございます」。

巻末の解説には、「情交の場面のみくだくだしく、物語の展開は駆け足である」とあります。

その情交場面だが、それほど過激とは思えない私は異常性格なのでしょうか。