本書のおかげで、奴隷たちによって行われたハイチ革命のことを知ることができました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3102)】
さまざまなキノコが生えています。
閑話休題、『ハイチ革命の世界史――奴隷たちがきりひらいた近代』(浜忠雄著、岩波新書)のおかげで、ハイチ革命という革命があったこと、それが奴隷たちによって行われたこと、世界史上最初の黒人奴隷制廃止を成し遂げたこと、ハイチは世界初の黒人共和国であること――を知ることができました。
「大西洋黒人奴隷貿易によってこの地に連行された、アフリカ人の奴隷労働によるプランテーションで生産された砂糖やコーヒーが、18世紀中葉に世界最大のシェアを占めて、フランスに巨大な富をもたらしたことから、『カリブ海の真珠』と呼ばれた」。
「(アフリカの)黒人たちは乗船前に毛髪を剃られ、全裸で男女別々の船倉に押し込まれた。女性と子どもは出帆後に鎖を解かれることが多かったようだが、男性は普通2人1組になって足首に鎖が掛けられたままであった。1人当たり畳半分ほどのスペースにすし詰めにされ、不衛生な環境に閉じ込められた」。当然のことながら、中間航路での死亡率はかなりの高さに上りました。「大西洋の海底にはおびただしい数のアフリカ人の遺骨が沈んでいる。その数は100万人をはるかに超えるであろう」。
「1791年8月、自由を求める北部州の奴隷たちが蜂起し、トゥサン・ルヴェルチュールらを指導者とする12年余におよぶ激しい闘いの過程で先駆的な奴隷解放を実現、さらにナポレオンが奴隷制の再建を目論んで派遣した精鋭軍隊を破って、1804年1月1日に『フランスを永遠に放棄し、フランスの支配下で生きるよりは死を選ぶことを誓約する』と宣言し・・・「ハイチ」を国名とした。ハイチは西半球でアメリカ合衆国に次ぐ2番目の、ラテンアメリカ・カリブ海地域では最初の独立国であり、1806年には共和制をしいて『世界初の黒人共和国』となった」。
ハイチ革命に身を投じた、革命の指導者トゥサン・ルヴェルチュールは、ナポレオンの命によって逮捕され、フランスに連行されてしまいます。「フランス到着後の8月23日、トゥサンはフランス南東部のジュラ山脈のジュー要塞に収監され、約半年後の1803年4月7日に獄死した」。
ハイチ革命は、反レイシズム・反黒人奴隷制・反植民地主義という3つの性格を併せ持った革命であることが、よく分かりました。