榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

52歳の人妻と、15歳年下の教え子の青年が20年ぶりに再会した・・・【山椒読書論(679)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年3月10日号】 山椒読書論(679)

コミックス『黄昏流星群(66)――星は光りぬ』(弘兼憲史著、小学館)に収められている「星は光りぬ」は、52歳の人妻と、15歳年下の教え子の青年が20年ぶりに再会する物語である。

渋野みゆきは、35歳の時、教師を辞め、5歳年上で再婚の出版社編集長と見合い結婚したが、「私は専業主婦となり、毎日家庭で退屈な日々を過ごしている。子供にも恵まれず、好きでもない男と二人きりで部屋の中にいると息が詰まる思いだ。もちろん夫婦関係はここ何年もない」。

偶々テレビに映った、神保町のカレー店「ベンガル」で店長をしている教え子・冬澤晃に会いに行く。20年前、私立の足利学苑高校の教師だったみゆきは、帰宅途中、足首をひねって困っていたところを、バイクで通りかかった教え子の晃に助けられ、アパートのみゆきの部屋で一線を越えてしまったという過去があったのである。「彼が私の『初めての男』となった。私が32歳の時だ。冬澤晃とは、この一回きりで、卒業まで何事もなく普通に過ごした」。

みゆきは晃に頼まれて、「ベンガル」でランチタイムのパートとして働き始める。「あの日から私達は月に2回のペースでホテルで会うようになった」。

自身も若い女と浮気をしている夫に、みゆきの浮気がバレてしまい、家を追い出される。その後、みゆきと晃がどうなったかは、ひ・み・つ。