膵臓がんという、たちの悪い敵を知りたい人にとって必読の一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3265)】
【読書クラブ 本好きですか? 2024年3月24日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3265)
ジョウビタキの雌(写真1、2)、ツグミ(写真3~5)、ヒドリガモの雄と雌(写真6。左が雄)をカメラに収まました。シデコブシ(写真7~9)、モクレン(シモクレン。写真10)、ヴィバーナム・ティヌス(トキワガマズミ。写真11~13)が咲いています。
閑話休題、『膵臓がんの何が怖いのか――早期発見から診断、最新治療まで』(本田五郎著、幻冬舎新書)は、たちの悪い膵臓がんについて知りたい人、膵臓がんに罹る可能性が高い人、膵臓がんが疑われる人、膵臓がんと診断された人――のいずれにとっても必読の一冊です。
膵臓がんに罹る可能性が高いと自覚し、完全禁酒を励行している私にとって、とりわけ勉強になったのは、次の3つです。
- ①近年、画像検査の精度が上がり膵嚢胞が見つかる人が増加傾向にあるが、膵嚢胞には、非腫瘍性の仮性嚢胞、貯留嚢胞、腫瘍性の膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)、膵神経内分泌腫瘍(P-NET)、充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)など、いろいろなタイプがある。
- ②膵嚢胞の中で診断件数が最も多いIPMNの悪性化兆候は超音波内視鏡(EUS)で見つける。
- ③たちの悪い膵臓がんの5年生存率は8.5%と厳しい数字が示されているが、ステージ0という超早期(上皮内がん)の段階で発見して治療をすれば、5年生存率90%超という驚異的な成績を目指すことができる。その際、嚢胞などの目立った形態的変化を見せることなく静かに悪性度を上げていく膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)にも注意する必要がある。