人間の自己家畜化とは何か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3264)】
ジョウビタキの雌(写真1~3)、シメ(写真4)、ツグミ(写真5)、シロハラ(写真6、7)、モンシロチョウ(写真8)をカメラに収めました。ヒュウガミズキ(写真9、10)、トサミズキ(写真11)、ヨシノツツジ(ツツジとシャクナゲの交配種。写真12~14)が咲いています。竹蜻蛉を数十m上空まで飛ばしている高齢男性に声をかけたところ、これまで7000個ほど自作し、子供たちに配っているとのこと。子供ならぬ老人の私にも2個くれました(写真15、16)。
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閑話休題、『人間はどこまで家畜か――現代人の精神構造』(熊代亨著、ハヤカワ新書)は、人間の自己家畜化を論じているが、精神科医として行き過ぎた家畜化に懸念を表明しています。
「最近の進化生物学のトピックスに『自己家畜化』というものがあります。これは、生物が進化の過程でより群れやすく・より協力しやすく・より人懐こくなるような性質に変わっていくことを指します。たとえば人間の居住地の近くで暮らしていたオオカミやヤマネコのうち、人間を怖れず一緒に暮らし、そうして生き残った子孫がイヌやネコへと進化したのは自己家畜化のわかりやすい例です。人為的に家畜にするのではなくみずから家畜的に変わったので『自己家畜化』、というわけです」。
「そして進化生物学は、私たち人間自身に起こった自己家畜化も論じています。考古学、生物学、心理学などから多角的に検討すると、この自己家畜化が私たちの先祖にも起こってきたというのです。進化生物学の研究者たちが述べるように、自己家畜化は人間が文明社会を築くうえで非常に重要だったはずです。というのも、高密度な集団をつくっていられること・そのなかで共通のルールを守って暮らせること・攻撃性や不安を抑えていられることは動物として凄い性質で、この性質がなければ交易や都市文明などは成立しようがなかっただろうからです」。
「では、こうした人間の自己家畜化がもっと進み、文明社会も進歩していけば万事OKでしょうか?・・・その文明社会が人間にもっと多くのルールを守らせ、もっと攻撃性や不安を抑えさせ、いわば『より家畜人たれ』と求め続けると、その求めについていけずに不適応を起こす人が増えるのではないでしょうか」。
ソ連のベリャーエフのギンギツネの家畜化の先駆的な研究が高く評価されています。
「(ネアンデルタール人に比べてホモ・サピエンスの)脳容量が縮小し、HPA系が弱まり、セロトニンの量が増えた人間は、先祖たちと比べてより争わず、より協力し、より教えたり真似したりすることに長けた生物に進化しました」。HPA系とは、ストレスに対して分泌されるホルモンを司っている視床下部・下垂体・副腎系のことです。
人間の自己家畜化に対する著者の姿勢は、「生物学的な自己家畜化を含めた人間の動物らしい性質も私たちの大前提や下部構造で、それを無視した進歩に突き進めばますますの人間疎外は不可避である」という言葉に尽くされています。