初めて出会った魚喃キリコという稀有な作家に魅入られてしまいました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3346)】
ツミの雌(写真1~6)、オナガ(写真7~11)をカメラに収めました。常緑ヤマボウシ(学名:コルヌス・ホンコンエンシス。写真12~15)が咲いています。
閑話休題、『短編集』(魚喃<なななん>キリコ著、東京ニュース通信社)は、短編漫画集というよりも、絵入り短編小説集という雰囲気を漂わせています。
「誰か別のひとじゃなくて 自分をいちばん大切に思えるようになれって君が言って だからそうゆうふうになりたくて そのいちばん大切なぼくをじっと見てた」。
「若いブスより 年増の美人っスよ たとえどんなに不幸でも むなしくても キレイなひとは幸せっスよ いいじゃないスか それで」。
「年齢とか常識なんかカンケーなく あたしはあたしでやってけばいいやと なんだかその時そう思った そう思って 今までゴチャゴチャ考えてたことが バカらしくておかしくなった」。
「きっとあたしはこれから一生 2番目に好きな人を 愛したままで暮らすんだ」。
「だからあたしは 後悔しないために 今しかできないことを やれるだけやっとくの ね? わかってくれる? 綾ちゃん」。
「職場で会うバカな男たちと このひとがいっしょじゃなくてよかったと思う反面、バカな男には通用するがこのひとには通用しない あたしのフェロモンが、極めて三流に思えて落ち込む」。
「あたしを見上げた 病気の太田さんの顔は なんかすごくキレイだった。キレイで弱くて うらやましくなるような そういう顔」。
「あたしは今まで、なんだかんだの きれいごとを言って、結局は 太田さんしか見ていない阿部の視界に入ろうとして 太田さんに近付こうとしてたのかなァ、と そういう自分の したたかさに気付いて、自分で自分に ちょっとイヤ気がさした。 『太田さん、阿部のことを好きじゃないままでいて』 『阿部、あたしのことを好きになって』」。
「僕は君と ずっとずっと どちらかが死んでしまうまで それまでのずっとを いっしょにいてもいいよって そんなことを思ってたんだ」。
「胸が張ってたので 妊娠したかと思ったが 生理日までの日数を逆算したら 計算がきちんと合っていたので 安心したような 残念だったような」。
若き女性の心の揺らぎが、繊細な筆致の絵と飾り気のない文章で描かれています。
初めて出会った魚喃キリコという稀有な作家に魅入られてしまいました。