榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

子どもたちが遊ぶ中庭を奪われたマンションの住民たちの復讐作戦の結果はいかに・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3402)】

【読書の森 2024年8月6日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3402)

サルスベリ(写真1~7)、マンデヴィラ(写真8、9)が咲いています。クマバチ(キムネクマバチ。写真6)をカメラに収めました。

閑話休題、短篇集『あいにくあんたのためじゃない』に収められている『パティオ8』は、怒りに燃える住民たちの復讐物語です。

舞台は、大家を含めて7世帯の住居が、十数メートル四方の中庭をロの字の形で取り巻いている、珍しい平家型マンション。この中庭は、室内にいながらにして子どもたちが遊んでいる様子を常に確認できるので、住民たちは大助かりなのです。

ところが、「メルボルンのCEOとZoomで重要な取り引き中なんです。・・・ずっと我慢していたけど、もう限界です。商談に支障がでているんです。申し訳ないですが、お子さんに中庭を使わせないでもらえるとありがたいのですが」と、101号室の無精ヒゲの中年男から怒鳴られてしまいます。

中庭が使用できなくなった住民たちの復讐戦、101号室の男の取り引き相手を奪うという作戦が企てられます。「オンライン上のミーティングルームに集合した母親たちはそれぞれ凛々しかった」。

果たして、作戦の結果はいかに!

作戦成功に向けて、住民がそれぞれの得意技を活用して作戦の各パートを担当する過程は、一種のビジネス小説としても楽しめます。