児童書作家の山本英子が綴った、10年前に亡くなった夫の直木賞作家・山本兼一との思い出・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3483)】
アンゲロニア・アングスティフォリア‘セレニータ’(写真1)、センニチコウ(写真2、3)が咲いています。トキワヤマボウシ(別名:常緑ヤマボウシ、学名:コルヌス・ホンコンエンシス。写真4、5)、カクレミノ(写真6)が実を付けています。我が家にも漸く渋沢栄一がやって来ました(写真7)。高校同期の仲間たちとの夕食会で、青春時代に戻ることができました。因みに、本日の歩数は11,999でした。
閑話休題、『キミは文学を知らない。――小説家・山本兼一とわたしの好きな「文学」のこと』(灯光舎)を読み終えて、夫婦はこうありたいものだ、という思いを強くしました。
児童書作家の山本英子が、10年前に肺がんで亡くなった夫の直木賞作家・山本兼一との思い出を綴っています。
●(彼は、小説の)構成は「起承転結」ではなく「起転承結」がいい。ドライブがきいてワクワクするし、読み進めたくなる。そして「凡作を恐れない」とも言っていた。
●才能を感じる小説を読むと、落ち込む。特に才能を感じないのに売れている小説を読むと、途方に暮れる。そんなことをくり返しているうちに彼のこころは、したたかに、しなやかになっていったんだろう。
●『オール読物』に(松本清張賞)選考委員の(『火天の城』の)選評が掲載された。「重ねた知識を、物語のために見事に捨てている」――この言葉を読んだとき、涙が出そうになった。山本兼一の小説との向き合い方が評価された。
●編集者は、作家に寄り添い一緒に作品をつくり出すパートナーでトレーナーだ。そして「気配りと先読み」の達人だ。
●(直木賞を受賞することになる)『利休にたずねよ』はタイトルからわかるとおり、千利休を書いた物語だ。歴史に詳しい読者がいる雑誌での連載。千利休がどのような最期を遂げたかを知っている人も多いだろう。この事実をストーリーにどう落とし込めば、読者を引っ張っていけるかと考え、山本は構成に仕掛けをつくることにした。それが緊張感を生んで今までにない千利休の物語となっていた。
●(英子の)「魔女館シリーズ」は、悩むたびに兼一師匠に相談して、進めた。シリーズは五年間かけて六冊で完結した。
『利休にたずねよ』は、正直に言うと、私の「読みたい本」リストからは外れていたのだが、英子が冒頭の書きだしから引き込まれたという件(くだり)を読んで、早速、リストに加えました。