榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

統合失調症の分かり易い入門書・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3520)】

【読書の森 2024年11月27日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3520)

結婚記念日祝いの昼食を近くの和食処「梅の花」で摂りました(写真1~11)。我が家の新しい餌台にシジュウカラがやって来ました(写真12)。

閑話休題、『ジャンヌ・ダルク――預言者・戦士・聖女』(ゲルト・クルマイヒ著、加藤玄監訳、小林繁子・安酸香織・西山暁義訳、みすず書房)を読み終えた時、13歳のジャンヌ・ダルクが聞いた神の啓示――聖人の言葉については、著者は否定しているが、私は統合失調症の幻視・幻聴と考えました。

私の考えが間違っていないか気になったので、『統合失調症――やさしいカラー図解 脳と心のつながりを理解し、治療と回復をサポート』(糸川昌成監修、法研)を手にしました。

●統合失調症の急性期には、妄想、幻覚、興奮状態などの症状(陽性症状)が現れる。

●幻覚は五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)に対応して、幻視、幻聴、幻臭・幻味、幻触・体感幻覚が生じる。幻聴の中には、「○○しろ」、「○○するな」と命令する命令性幻聴がある。

●妄想には被害妄想、誇大妄想、微小妄想、身体妄想があり、誇大妄想の中には、自分は神から選ばれた人間だと確信を抱く宗教妄想がある。

ジャンヌは、眼前に現れた聖人を見、その言葉を聞いて、自分が祖国フランスを救わねばならないと確信し、それに基づき積極的な行動を起こしたのだから、幻視、幻聴、誇大妄想の影響下にあったと考えていいのではないでしょうか。

統合失調症は遺伝するのかということも気にかかっていたが、本書には、こう記されています。「統合失調症に関する遺伝子は報告されているが、どの程度かかわっているかははっきりしていない。遺伝子が同じである一卵性双生児が2人とも統合失調症を発症する確率は48%、二卵性双生児だと17%、統合失調症の親から生まれた子どもが発症する確率は13%で、遺伝がすべてではないことを証明している」。DISCI遺伝子、NOTCH4遺伝子、ニューレグリン-1遺伝子、PRODH2/DGCR6遺伝子など統合失調症に関する遺伝子が報告されているとのこと。