榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

哲学の問いについて、じっくりと考えてみよう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3536)】

【読書の森 2024年12月10日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3536)

コナラ(写真1)、ラクウショウ(写真2)、メタセコイア(写真3~5)が黄葉しています。センダン(写真4~6)が実を付けています。カンツバキ(写真7~9)が咲いています。アオサギ(写真10)、コサギ(写真11)、オオバン(写真12)、オナガガモの雄(写真13)、マガモの雄と雌(写真14)、ヒドリガモの雄(写真15)、雌(写真16)、ハシブトガラス(写真17)をカメラに収めました。因みに、本日の歩数は11,973でした。

閑話休題、『哲学の問い』(青山拓央著、ちくま新書)に、著名な哲学者たちの思想の解説を期待してはいけません。本書は、哲学の問いのそれぞれについて読者にじっくりと考えてもらいたい、そのことを通して哲学的な思考に親しんでもらいたいという、著者・青山拓央の根源的な考えから書かれているからです。

24の問いが立てられているが、とりわけ興味深いのは、●実在するってどういうこと? ●世界は急に消えるかもしれない、●コロナの時代の恋、●時間の窓と色ガラス、●唯物論とは何か、●チャットGPTは接地する、●生まれと育ちにおける運、●幸福を語る、闘いの場――の8つです。

例えば、「コロナの時代の恋」は、誰もがマスクを着けており、お互いの顔を見ることが難しい生活は、恋愛というものの在り方についてどんなことを教えてくれるだろう?という問いから始まっています。

「相手の顔の魅力度が、その相手を恋愛対象と見なせるかどうかに少なからぬ影響を与えることは――もちろん例外はあるけれども―― 一般的な傾向として否定しがたい。顔に魅力のある人は好かれやすく、顔に魅力のない人は好かれんくい。これは道徳的な判断に先立つ、いわば生物としての人間の反応に由来する」。

著者は、ルッキズム(容姿に基づく差別主義)に言及した後、私にとっては思いがけない結論に辿り着きます。「つねに顔を見せ合うという文化には豊かな側面がたくさんあるけれども、それは多くの人々にとって、他者が審査員である『恋愛オーディション』への参加をつねに強制される文化でもある。その一種の野蛮さを類比的に理解するためには、自分の職業や収入が書かれた札をつねにぶら下げて生活することを強いられた文化を考えてみるとよいだろう。ここで言う『職業や収入』は、恋愛オーディションの審査項目になり得るものの例である」。

うーん、これは私には納得できない結論だな。