この世に生まれてきた私たちは、過酷なサヴァイバルレースを勝ち抜いた幸運な勝者だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3676)】
【読書の森 2025年4月26日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3676)
植物観察会に参加しました。アケビとミツバアケビの交雑種・ゴヨウアケビ(写真1、2)、キンラン(写真3~5)、ギンラン(写真5~8)、ササバギンラン(写真9~11)、ジュウニヒトエ(写真12)、ヤセウツボ(写真13)、チゴユリ(写真14、15)を観察することができました。
閑話休題、『遺伝子はなぜ不公平なのか?』(稲垣栄洋著、朝日新書)で、私が大きく頷いたのは、私たちがこの世に生まれてきた奇跡について述べられた箇所です。
この世に生まれてきた私たちは、過酷なサヴァイバルレースを勝ち抜いた幸運な勝者だというのです。1回の射精で放出される精子は2~3億個と言われており、ゴールで待ち受ける卵子はたった1個で、この卵子に辿り着かなければ、生を受けることはできないからです。「今生きている私は、そんな幸せなただ一人の勝者なのだ。・・・この世に生まれてきただけで、私たちは十分に勝者なのだ」。「私たちは、生まれたかった2億の代表として、この世にやってきた、ぶざまでもいい、かっこ悪くてもいい、誇りを懸けて、最後まで生き抜くのだ」。
さらに、著者は、遺伝子は私たちの持つ武器である、その武器である自分の遺伝子のパフォーマンスを最大限発揮することが大切だと強調しています。
勉強になったのは、働きアリたちが自分の遺伝子を残そうとしない理由が明らかにされていることです。ウィリアム・ハミルトンが、自然選択は、個体レヴェルではなく遺伝子レヴェルで起きると指摘しているというのです。「つまり首の長いキリンが選ばれたのではなく、首が長くなる遺伝子が生き残った。自然選択の結果選ばれたのは、首の長いキリンではなく、『首が長くなる遺伝子』だ、と主張したのである」。