臆病者は現実の死を迎えるまでに何度でも死ぬものだ。・・・【ことばのオアシス(113)】
【薬事日報 2013年2月1日号】
ことばのオアシス(113)
臆病者は現実の死を迎えるまでに何度でも死ぬものだ。
――ウィリアム・シェイクスピア
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』(福田恆存訳、新潮文庫)の第2幕第2場のジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)の台詞。妻のキャルパーニアが不吉な予感がするので出かけないようにと必死に説得するのに対するシーザーの言葉だが、「勇者にとって、死の経験はただ一度しかない。世の不思議はいろいろ聞いてきたおれだが、何が解らぬといって、人が死を恐れる気もちくらい解らぬものはない。死は、いわば必然の終結、来るときにはかならず来る、それを知らぬわけでもあるまいに」と続く。
こう言い残して元老院に向かったシーザーは、目を掛けていたマーカス・ブルータスらに刺殺されてしまうのであるが、この覚悟は、いかにもシーザーらしい。
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