榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

この本を読めば、本当の説得力が本当に身に付くのか・・・【続・リーダーのための読書論(22)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2012年12月25日号】 続・リーダーのための読書論(22)

説得技術の宝庫

すごい説得力――論理的に考え、わかりやすく伝える話し方』(太田龍樹著、三笠書房・知的生きかた文庫)は、実戦向きの本である。

著者の基本的な考え方は、●仕事をする力=説得する力、●ビジネスで成功するには、パワフルな説得力を身に付けることが必要不可欠、●説得力をアップさせるには、説得の技術を学ぶのが近道――と明快だ。

実例付きのノウハウ

「徹底的に『わかりやすく伝える』説明の技術」、「あなたの説得力が倍増する質問法・反論法」、「タイプ別――説得相手を丸裸にする方法」、「相手の心理を巧みにつく表現のテクニック」といった、著者が経験を通じて培ってきたノウハウが実例とともに紹介されている。「要点は必ず3つ以内に絞る」、「話の冒頭に道しるべをつける」、「逆接の接続詞を使わずに反論する」、「最後の念押しで話に一貫性をつくる」、「相手の否定的な言葉を肯定的にいいかえる」など、いずれも具体的で分かり易い。

例えば、「アイ・コンタクト」より有効な「アイ・コネクト」とは、「あなたが誰かを説得する際に、相手があなたを認識し、反応を返したと感じるまで、相手を見続けること」で、その訓練法として、「身近な家族、友達。仲のよい同僚の誰かをパートナーにして、視線を合わせる」と、「目に『感情を込める』練習をする」の2つを挙げている。

本当の説得力

著者は、説得の技術を重視しているが、「セールスや交渉の場面において、手練手管で相手を半ば脅すように説き伏せる、というのは、本当の説得ではありません。ビジネスにおける説得というのは、説得する側と説得される側の双方が満足を得ることが何より重要なのです。ビジネスパーソンとして、人間として、『この人がいうのなら間違いない』と思わせるような信頼を得られるかどうかが、『本当の説得力』を身につけるための重要なファクターなのです」と、根本的なアドヴァイスを忘れていない。