榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

どんなに健康に励んでも、年をとれば、がんにも、脳梗塞、認知症にも、なるときはなる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3849)】

【読書の森 2025年10月6日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3849)

第一三共グループ社友会で、昔の仲間たちと会話を楽しみました。因みに、本日の歩数は11,177でした。

閑話休題、『老いて楽になる人、老いて苦しくなる人(新装版)』(久坂部羊著、ビジネス社)では、著者・久坂部羊が47歳の時、医師として働いたデイケアで間近に触れ合った高齢者たちが臨場感豊かに描かれています。

「老いる」ということについて、いろいろ学ぶことができました。とりわけ印象に残ったのは、この3つです。

●あなたが年老いて、肺の機能が落ちてきたとしよう。慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息など、老人の肺を侵す病気は多い。タバコを吸っている人は特に危ない。いや、空気の汚れた都会に暮らしておれば、肺がダメになるのは宿命といわねばならない。老人の肺疾患では、まず大量の痰が出る。自分で咳をして出せればいいが、老いれば咳をする力もなくなる。そんなときどうするか。大丈夫。今は家庭用の吸引器があって、手軽に自宅で痰の吸引ができる。しかし、淡が粘っこくて、簡単に吸引できないときはどうするのか。大丈夫。ポータブルのネブライザーを使えばいい。去痰剤の霧が肺の奥まで届いて。痰をサラサラにしてくれる。それでもまだ呼吸困難があったらどうしよう。大丈夫。在宅酸素療法といって、酸素発生機をレンタルで据えつけてもらえる。医療保険が利くから、自己負担も少なくてすむ。さらに指の爪で酸素濃度を簡単に計れる器械もあるから、必要な酸素の調節も簡単。ボンベに切り替えて外出もできる。しかし、ついに自分で息ができなくなったらどうしよう。大丈夫。人工呼吸器で呼吸をアシストしてもらったり、気管切開のチューブを入れたり、在宅医や訪問看護師の助けは必要だが、必ずしも入院しなくてもいい。すなわち、肺の老化に関しては、今はほとんどの問題を自宅で解決できるようになっているのだ(新装版注:肺の炎症や機能低下による呼吸不全は、必ずしも解決できません。また、人工呼吸器をつけると、当然ながら生活はかなり制限されます)。【著者が本書を書いたのは47歳の時、新装版を出版したのは69歳の時】

●毎日運動をして、酒、煙草もやらず、夜更かしもせず、栄養のバランスを考え、刺激物を避け、肥満にも気をつけ、疲れもためず、人間ドックも欠かさず、悪所にも行かず、精神衛生にも気を配り、細心の注意で健康に励んでいても、老化現象は起こる。がんにもなるし、脳梗塞、認知症にも、なるときはなる。さて、そうなったとき、冷静に現実を受け止められるだろうか。あれだけ努力したのにと、よけい嘆きが頭をもたげないか。もちろん、摂生すればリスクは下がる。単にそれだけのことだと認識しておかないと、あとで重荷を増やすということだ。それでは何が必要か。まずは経済的な準備である。・・・もうひとつ、重要なのが人間関係の準備である。・・・心の準備、経済的な準備、人間関係、よい準備がよい老後を実現する。準備するのは自分である。

●あらまほしき(望ましい)老人たち――無頓着力、満足力、感謝力、幸福力。