自他を「分ける」デカルトと、自他が「繋がる」ベイトソンの思考のいずれを支持すべきか・・・【情熱の本箱(296)】
【ほんばこや 2019年10月18日号】
情熱の本箱(296)
女房から、かねがね、私の書評は長過ぎる、引用が多過ぎると非難されているので、今回は短く、引用なしの書評に挑戦することにした。
厚さ2.7㎝の哲学書『デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化』(モリス・バーマン著、柴田元幸訳、文芸春秋)で著者が言いたいことを乱暴にまとめると、●自他を「分ける」ことよりも、自他が「繋がる」ほうが人類のためになる、●「多様性」は「一様性」より好ましい、●「最大化」よりも「最適化」を目指すべきだ――の3点になるだろう。
「分ける」思考法に貢献した人物としてデカルト、ベーコン、ガリレオ、ニュートンを登場させ、一方の「繋がる」思考の体現者としてベイトソンを対置させている。
バーマンとベイトソンには誠に申し訳ないが、本音を言うと、私はデカルトに軍配を上げたいと考えている。